「考える」を買う。高橋理子株式会社 あえて不親切な商品が壊す「モノ」の固定観念とは

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「考える」を売るために必要なこと

「考えるを買う」商品の場合、その価値はお客様の思考レベルによる、と言い切ってしまうことは簡単です。しかし、それはひとつ間違えれば、商品の価値を感じてもらうことを、お客様に丸投げしているだけになってしまいます。 それを避けるためにも、売り手と買い手のコミュニケーションを通して、商品に含まれている哲学や価値に、気づいてもらう仕掛けが必要になります。

そのためには、「クリエーション」と「モノづくり」が高いレベルでつながっていることが必要です。その点では、高橋理子さんのアクションは1本の線でつながっています。

デザインに関してですが、高橋理子さんの商品の図柄は、円と直線という限られた構成要素を高いレベルでつなぎ合わせることで成り立っています。円と直線のみというのは、デザインを作るうえでは強い制約条件になるはずです。

しかし、この意図については、

「最小限の要素で、大きな可能性を探る試みであると同時に、何でも手に入る時代において、多くを求めなくとも十分に楽しく生きることができるということ、そして、シンプルで無駄のない暮らしを楽しむことへのメタファーでもあります」

と説明しています。

すでにデザインの段階から、制約条件から生まれる新しいデザインへの挑戦が込められています。強い制約条件を設定することにより、プロダクトにかかわる人全員に考えることを求め、考えることを楽しむデザインであるようにとらえることができます。

そして、表現方法に関しても、アーティスト高橋理子さん自身が、自ら作り出した着物をまとい、仁王立ちで写るポートレートを発表する展覧会を定期的に行うなど、奇抜で新しい試みを続けています。

仁王立ちで着物を着ることで、着物の着方の固定観念に対する固定観念を覆す
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