“馬を強くする馬場”の背景に調教施設の違い
JRAは東西に2つのトレーニングセンター(調教施設)を持っている。1つは滋賀県の栗東(りっとう)に、もう1つは茨城県の美浦(みほ)にある。それぞれに所属する馬を、関西馬、関東馬と呼ぶ。昭和の時代は関東馬が強かったものの、平成に入って以来、関西馬の勝ち数が関東馬を上回るようになっている。
原因は複数考えられるものの、栗東と美浦の坂路(はんろ:坂のコース)の違いが指摘されている。坂路の規模をそろえれば済む話かもしれないが、改修は容易ではない。そこで、2013年ころから美浦トレーニングセンターである取り組みが始まる。“今ある設備でいかに強くするか”と考えられたのが、“馬を強くする馬場”なのだ。
――JRAは3年くらいで異動することが多いそうですね。長岡さんは、トレーニングセンターにトータルで7年間勤務したとのことですね。
栗東に3年行き、その後に美浦に行きました。栗東と美浦、どちらも2000頭ほどの馬がいて、月曜日以外は毎日調教をやっています。トレーニングセンターは競馬場とは管理が違います。トレーニングする馬場は、芝やダートではなく、ウッドチップが主体です。周回コースに加えて、坂路という坂の馬場があります。坂路もウッドチップです。
ウッドチップは足元に優しく故障が少ないのに加え、走るために力が必要でトレーニング効果が非常に高いんです。
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