JR京浜東北線の王子駅ホーム南行きの線路の隣に単線の線路が残っている。
かつての貨物線跡で北に辿って行くと、東北新幹線の高架下をくぐり抜け、いくつか踏切跡を過ぎて巨大なマンション群に吸い込まれていくように消えてしまう。
かつて製紙工場の倉庫だったところで、貨物専用の北王子駅廃止後に再開発されて団地に生まれ変わったのだ。2014年夏の廃止なので、線路はまだまだ残っている。遊歩道として生まれ変わるのだろうか?
地上にあった東横線渋谷駅
2013年3月に東横線渋谷駅は地下化され、東京メトロ副都心線と直通運転を開始した。それにともない、代官山駅直近までの路線は地下に潜り、地上施設はすべて廃止となった。その跡地に最近できたのが高層ビル渋谷スクランブルスクエア東棟と渋谷ストリームである。
渋谷スクランブルスクエア2階から渋谷ストリームへの通路は、かつての東横線渋谷駅ホームの跡地で、ホームを覆っていた蒲鉾形屋根の側面にあしらわれていた特徴あるクラム型(めがね型)の壁がしっかり再現された。
通路には本物の線路が埋め込まれ、かつてここを東横線が走っていたことを彷彿とさせる。線路の分岐(ポイント)らしきものも再現されているのは往時を知る者にとってはうれしい。その先、渋谷川に沿った遊歩道にもレールが埋め込まれたり、高架橋の支柱や橋脚を残してオブジェとしたりと過去の思い出を大切にしているのは好ましいことだ。
うらさびれた廃線跡とは一線を画した洒落た跡地利用は大都会のど真ん中であることと、廃止とは言っても地下にもぐったための跡地ということで無念さがないためもあろう。ある意味、幸せな廃線跡である。
廃線跡の線路は、活きた列車が走るのを再び見ることはないのが残念ではあるけれど、思わぬところで往時をしのぶ遺構やモニュメントを見つけることもあり、発見の楽しみを味わうことのできる散策なのだ。
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