もう列車が走らず残念!街中に眠る廃線跡10選 思いがけない場所で「遺構」を発見する楽しさ

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9)JR北王子貨物線跡(東京都北区)

JR京浜東北線の王子駅ホーム南行きの線路の隣に単線の線路が残っている。

北王子線廃線跡。北王子駅はマンション街になった(筆者撮影)

かつての貨物線跡で北に辿って行くと、東北新幹線の高架下をくぐり抜け、いくつか踏切跡を過ぎて巨大なマンション群に吸い込まれていくように消えてしまう。

かつて製紙工場の倉庫だったところで、貨物専用の北王子駅廃止後に再開発されて団地に生まれ変わったのだ。2014年夏の廃止なので、線路はまだまだ残っている。遊歩道として生まれ変わるのだろうか?

地上にあった東横線渋谷駅

10)東横線渋谷駅―代官山廃線跡

2013年3月に東横線渋谷駅は地下化され、東京メトロ副都心線と直通運転を開始した。それにともない、代官山駅直近までの路線は地下に潜り、地上施設はすべて廃止となった。その跡地に最近できたのが高層ビル渋谷スクランブルスクエア東棟と渋谷ストリームである。

東横線地上駅を再開発した渋谷ストリーム(筆者撮影)

渋谷スクランブルスクエア2階から渋谷ストリームへの通路は、かつての東横線渋谷駅ホームの跡地で、ホームを覆っていた蒲鉾形屋根の側面にあしらわれていた特徴あるクラム型(めがね型)の壁がしっかり再現された。

通路には本物の線路が埋め込まれ、かつてここを東横線が走っていたことを彷彿とさせる。線路の分岐(ポイント)らしきものも再現されているのは往時を知る者にとってはうれしい。その先、渋谷川に沿った遊歩道にもレールが埋め込まれたり、高架橋の支柱や橋脚を残してオブジェとしたりと過去の思い出を大切にしているのは好ましいことだ。

うらさびれた廃線跡とは一線を画した洒落た跡地利用は大都会のど真ん中であることと、廃止とは言っても地下にもぐったための跡地ということで無念さがないためもあろう。ある意味、幸せな廃線跡である。

廃線跡の線路は、活きた列車が走るのを再び見ることはないのが残念ではあるけれど、思わぬところで往時をしのぶ遺構やモニュメントを見つけることもあり、発見の楽しみを味わうことのできる散策なのだ。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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