壇蜜を射止めた漫画家「清野とおる」の快活人生

大学生でデビュー、どん底乗り越えて見た境地

『東京都北区赤羽』が成功すると、他媒体からも声がかかるようになった。

2015年には『東京都北区赤羽』の続編である、『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』(双葉社)、『その「おこだわり」、俺にもくれよ!!』(講談社)、『ゴハンスキー』(扶桑社)、『Love & Peace ~清野とおるのフツウの日々~』(白泉社)と4つの連載が重なった。

「ラフな絵なら4つ連載もいけるかと思ったんですけど、つい描きこんじゃって。一度描きこんじゃうともう元には戻せなくなります。時間は全然足りなくなりましたが、それでも容赦なく、締め切りはやってきて。

『なんでこんなにたくさんの仕事を引き受けてしまったんだ……』

と自分の浅はかさを呪いました。全部辞めて逃げようと思ったくらいです」

しかし『東京都北区赤羽』の人気はさらに盛り上がり、2015年には『山田孝之の東京都北区赤羽』としてドラマ化された。そして、翌年には『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』もドラマ化された。

「うれしかったはずですが、でもその頃は忙しすぎてあまり記憶がないんですよね。

振り返ると、人生でしんどくない時期ってないですね。仕事がない時はない時ですごいしんどかったです。

『仕事さえあれば自分の人生は満たされるはずなのに!!』

と毎日思ってましたけど、実際に忙しくなったら、休みたくて仕方がなくなってる自分がいます。結局ないものねだりなんですね」

赤羽に対する罪悪感

また清野さんには、少しだけ罪悪感があるという。

「今の赤羽は僕が『東京都北区赤羽』の連載を始めた頃とはずいぶん違います。赤羽がドラマ化されたあたりから街が少しずつオシャレに洗練されてしまった気がします。漫画で描いてきた「変な人」もすっかり見かけなくなりました。

もちろん、僕だけのせいとは思ってませんけど、オシャレ化した要因の1つくらいは自分にあるよな……と痛感しています。こういう街の変化が一概に悪いことだとは言わないですが、少なくとも僕の大好きだった、未知と刺激に満ちていた赤羽はもう存在しない。ひょっとしたら、自ら破壊する手伝いをしてしまったのかもしれないというジレンマはありますね。おこがましいですけど……」

長らく続いた『東京都北区赤羽』(2013年からは『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』として『漫画アクション』(双葉社)にて連載)は2019年の初頭で最終回を迎えた。

他の連載も終了し、現在の連載は『東京ウォーカー』(KADOKAWA)の『東京怪奇酒』だけとなった。

「2019年はずっと単行本製作の作業をしていました。実は何作も連載していた頃と変わらないくらい、実作業をしていました。

特に『まあどうせいつか死ぬし ~清野とおる不条理ギャグ短編集~』はほとんどのページを修正する大作業になりました」

次ページ『短編集』は大幅ブラッシュアップを加えた
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