「バカと思い込みの強い人」が世の中を変える   年齢やキャリアを重ねてもサードドアは開ける

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読書は読み手の知性が試されるので、知識づけの厚みのない人間がいくら先生に解説されながら読んでも、やはり浅い理解しかできないんです。

アレックス自身も最初はそうでした。でも、『サードドア』を読むと、彼の場合は、ビッグネームにぶつかって何度も挫折を繰り返していくことが、大きな成長の階段になっていることがわかります。『サードドア』は、読む人の知識の厚さ次第ではすばらしい本になるでしょうし、そうした知識を持たない人にはわからない。

この本に対して、「なんだ、ちゃんとしたインタビューもできないし、失敗ばかりじゃないか」という感想を持つ人もいるかもしれません。でも、僕に言わせれば、こんな若者に失敗以外の何を求めるんだよ、と言いたい。それが若さのいいところであり、この本のいいところでもあるんです。

誰かの名言を自分が実現することはできない

ウォーレン・バフェットになかなか会えずに煩悶しているアレックスが、エジソンやベーブ・ルースたちの残した名言をプリントアウトして、部屋中に貼るというシーンがありました。これもまた若者らしいところだと思いましたね。

有名人の名言は、確かにすばらしいものですが、その言葉のすばらしさを自分が実現することはできないんですよ。エジソンもベーブ・ルースも、いろんなことをやってみて、それを後になって振り返ったときに、初めて気がついたことが名言となったわけです。「諦めない人間を打ち負かすことはできない――ベーブ・ルース」。こんな言葉、若いうちに思いつくわけがありません。

アレックスも、数々の失敗を繰り返して、徒労に終わったり、うそをつかれて不信感を募らせたり、絶望感に打ちひしがれたり、ネガティブな気分をかなり味わっています。でも、そのネガティブな気分から得たものというのは、やはり体験した本人にしかわからないものです。

ですから、この本を読んだ若者が、自分もアレックスのようになろうと考えて真似をしてもダメなんですよ。そして、書いた本人も、もうこの本を超えるものは書けないかもしれない。彼は、『サードドア』というマスターピースを見つけ出し、ビッグネームとなって追われる立場になったのですから。

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