殺人犯にされた人が語る「ネットリンチの恐怖」 心を病まないようにするには…
「ネットの世界の怖いところは、いつ被害者になるかわからないということ。それと同時に、自分が意図しないうちに加害者になってしまうことです」
こう語るのは、お笑いタレントで俳優としても活動するスマイリーキクチ氏(47)。とある事件が彼とひも付いてしまう人も多いだろう。実は彼も長年、誹謗中傷を受けてきたインターネットによる人権侵害の被害者だ。1999年に開設されたネット掲示板の草分け『2ちゃんねる』や、彼の公式ブログのコメント欄などで、1989年に発覚した『女子高生コンクリート詰め殺人事件』の実行犯であるという書き込みが相次いだのだ。
「インターネット黎明期だったこともあり、情報の取捨選択を行う“リテラシー”の概念がまだ根付いていなかったこともあると思いますが、本当に僕が犯人だと信じてしまう人も少なくありませんでした。事実無根であることを発表したものの、今でも僕の名前を検索すると、公式のサイトやSNSよりも“中傷事件”とか“人殺し”などの見出しが上にきてしまうんです」(キクチ氏、以下同)
キクチ氏が初めて中傷を受けた日から約20年が経過。それでもなお、ネット上で彼をたたく人もいるという。これだけの月日が経っても、ネットリテラシーは向上しているとは言いがたく、むしろインターネットが身近になったからこそ危険は近くに潜んでいるのだと警鐘を鳴らす。
デマを鵜呑みにしやすい人の特徴
「今年7月、堀ちえみさんのブログのコメント欄に何度も“死ね”と書き込み、脅迫していた主婦が書類送検されました。北海道に住むこの主婦は、“みんな書いている”と反省の色がないような報道がされていました。
実はこの人に限ったことではなく、TwitterやInstagramなどのSNSでほかのユーザーを中傷している人の投稿を見てみると、家族の写真を普通に載せているんですよね。
お子さんの顔の写った写真を投稿して、“今はこういう帽子が流行っています!”とか、“ヒーロー物のグッズを買いました!”とか……。そういう日常的な投稿をしているような普通の人が、誰かにかみ付いていることが多いんですよ」