問題は、保存した写真が大量になると、その中から目的のものを選び出すのが難しくなることです。
同じ問題が、ウェブの情報について、20年ほど前に生じました。
それを解決したのが、検索エンジンでした。極めて性能の高い検索エンジンを開発したグーグルが、その後急成長し、今やGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれる企業群の1つとしてアメリカ経済をリードする役割を担っていることは、よく知られています。
ところが、これまで検索の対象にできたのは、デジタル・テキスト(文字や数字など)でした。写真などの画像を検索することはできなかったのです。このため、写真の数が多くなってくると、お手上げということになります。
貴重な写真がたくさんあるのに利用できないで、情報洪水の中に飲み込まれてしまう「豊穣の中の貧困」です。
個人でも、画像認識機能を使えるようになった
ところが、この状況に最近大きな変化が生じつつあります。コンピューターが画像を識別できるようになったのです。
例えば「写真に写っているのは猫であり、犬ではない」ということを判断できるようになりました。
この技術は、画像認識といわれるもので、これまで、コンピューターが最も苦手とされてきたものです。われわれが学生の頃から、「夢の技術」といわれていました。
画像認識は、さまざまな場面で応用されます。
まず、自動車の自動運転には不可欠の技術です。完全自動運転が可能になれば、経済活動も生活のスタイルも大きく変わるでしょう。
また、電子マネーの支払いが、QRコードではなく、顔認証で行えるようになりつつあります。これができれば、店舗の無人化が可能になります。
このように、画像認識は極めて重要な技術ですが、ここでは、企業による利用ではなく、個人が画像認識機能を使えるようになったことについて述べたいと思います。
個人が使える画像認識の第1は、「Googleレンズ」というサービスです。スマホのGoogleアプリでマイクの左横にあるボタンをクリックして起動したカメラで写真を撮ると、その対象物が何であるかを教えてくれたり、印刷された文字を読み取ってくれたりします。これは、1年ほど前から利用可能になったものです。
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