昨今の経済現象を鮮やかに切り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する――。野口悠紀雄氏による連載第2回は、完全自動運転が実現した先の社会の変化を予測する。
自動車の自動運転技術が急速に進歩しつつあります。「レベル5」といわれる完全自動運転の実現も、遠い将来のことではありません。
レベル5では人間が運転する必要はまったくないので、それが一般道路でも可能になれば、社会に大きな変化が生じ、仕事や生活が大きく変わると予想されます。
経済・社会的に極めて大きな変化
EU(欧州連合)の欧州委員会は、2030年代までにレベル5の自動運転が標準となる社会を目指しています。中国政府が2015年に発表した「中国製造2025」は、2030年にレベル4(高度運転自動化)~5の自動運転を新車の10%とする目標を掲げています。
日本では、内閣に設置されたIT総合戦略本部が2017年に発表した「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」で、2025年前後に高速道路におけるレベル4の実用化を、自動車メーカーは、2020年代に、一般公道でのレベル5実用化を目指しています。
自動運転に関して議論されることの多くは、その技術的な側面であり、もちろん重要なことです。
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