中国人が日本人より離婚に踏み切りやすい事情 夫も妻も金銭面での制約条件が日本とは違う

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ごく最近になって、プライドの高い上海や北京の親たちが、逆に娘を喜んで結婚させたいと願う地方出身者も登場しました。「鳳凰男」です。フェニックスマン。地方出身者ですから、基本的に家はもっていません。でも、将来性がある。

鳳凰男に厳密な定義はないのですが、私のイメージでは、こんな感じです。

地方の出身者で、必死に勉強して大都市の一流大学に進学。卒業後はBAT(百度、アリババ、テンセント)のようなIT系や、金融系の一流企業に就職。入社して5年ぐらい経てば年収1000万円を当たり前にもらう男性たちです。

日本にもかつて「3高」という言葉があったそうですね。結婚相手に対しては、高学歴、高収入、高身長を求める。中国の場合、ルックスはさほど重視しません。でも、収入は何より重視する。

鳳凰男は離婚するケースが多い印象があります。結婚した当初は、2人だけの生活だからいいのです。鳳凰男も都会のマナーや生活スタイルを身に付けている。でも、子供が生まれると、中国では祖父母が面倒をみるのが一般的です。田舎から鳳凰男の両親が出てきて、風習の違いでもめることも少なくない。

実際、知り合いの日本人女性も、これが原因で鳳凰男と離婚しています。中国の田舎、とくに水が貴重な地域では、赤ちゃんをお風呂に入れる頻度として1週間に1回が常識だったりする。こうした文化の違いが積み重なってけんかのもとになり、うまくいかなくなるケースもあるわけです。

中国では40代で「熟年離婚」する?     

実は2003年から16年連続で、中国の離婚率は上がり続けています。婚姻件数のほうは2014年から減り続けているのに、です。

2018年のデータでは、婚姻件数が1011万組、離婚件数が380万組ですから、2.5組に1組近くは離婚していることになる。日本では3組に1組ですから、それを追い抜いてしまった。

なぜ2003年から離婚が増え出したかについては諸説ありますが、よく冗談半分に解説されるのが、「わがままな一人っ子の八〇後(1980年生まれ)が結婚する年齢に達したから」。誰もが「なるほどね!」と膝を打ってしまう説明です。

ただ、実は離婚は七〇後のほうが多いのです。古い世代は「離婚は悪いことだ」という価値観をもっています。「これから先の長い人生を考えたら、離婚も選択肢の1つになる」と考えるようになったのが、七〇後からなのです。

ただ、七〇後が離婚する理由は、八〇後ともまた違うように思います。中国では、日本と比べものにならないぐらい、子供の教育を重視します。子供が高校生や大学生になって手がかからなくなった年代が、七〇後なのです。

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