中国人が日本人より離婚に踏み切りやすい事情 夫も妻も金銭面での制約条件が日本とは違う

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日本でも「子供も手を離れたし」というフレーズはよく耳にします。でも、大抵の場合、奥さんは、旦那さんが退職するまでは辛抱する。だから、熟年離婚が増える。離婚に踏み切るきっかけは同じなのに、時期が違うのは、もちろん理由があります。

1つは、中国には退職金が存在しないこと。退職時にドカンともらうのではなく、退職後も給料をもらい続けるのが一般的なのです。だから、旦那さんの退職金狙いで定年まで辛抱する意味がない。

「男性から先に名刺交換」は危険  

もう1つ、中国では女性も働くのがデフォルトだということがあります。旦那さんの給料に頼らなくてもやっていける。基本的に男性が女性へ慰謝料を支払う習慣がないので、やっぱり辛抱する意味がない。耐えられなくなったら、早めに離婚してしまうほうが賢い、というわけです。

当然、女性もBATなどの一流企業に入れば、まったく同じ待遇を受けられる。鳳凰女という言葉がないだけです。日本の女性より生活力がある。

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実は、この部分も、あまり日本人に理解されていない。年をとった人のほうが社会的地位は高いと考えるのと同様、女性より男性のほうが社会的地位は高いと考えてしまう。そんなことはありません。女性経営者として、ものすごく稼いでいる人がざらにいます。

ビジネスで日本を訪れた中国人の女性社長から、こんな言葉を聞いたことがあります。

「日本人って、なぜか私をスルーして、部下の男の子のほうと先に名刺交換しようとするのよ。あれはどうして?」

知らないとはいえ、やはり失礼なことをしている。

高い社会的地位につき、大金持ちの女性はたくさんいます。だから、日本に旅行で来たときも、平気で大きな買い物をするのです。

袁 静 行楽ジャパン社長

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えん せい / Sei En

上海市生まれ。北京第二外国語大学卒業。早稲田大学アジア太平洋研究科修了後、日経BP社に入社し日本で10年間を過ごす。帰国後、中国人富裕層向けに日本の魅力を伝える雑誌『行楽』を創刊、15年行楽ジャパンを設立する。現在、上海と東京にオフィスを構え、中国での日本の観光PRに活躍する。

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