「なんだか生きづらい人」は白黒つけすぎている 「できそう」という見込み感が大事なワケ

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例えば、「目上の人を前にすると萎縮してしまう」という悩み。これも思考・行動パターンの1つです。

「自分より立場が上の人とは、目も合わせられず、自分の意見を伝えられず、『はい』と言うことしかできない」というパターンができてしまっていれば、直属の上司、職場の先輩、取引先の社長など、相手が代わっても条件反射のように同じ対応をしてしまいます。これが「上司からのパワハラ」「仕事が続かない」といった悩みの原因になっていることがあります。

なかには「怒りや悲しみというマイナスの感情は悪いものだから、表に出さない」というパターンができている人もいます。そういう人は感情を抑え込むためストレスがたまりますし、誰にも自分をさらけ出せず、孤独感を抱くようになることもあります。

同じ思考や行動を続けている限り、そこから生まれる結果は同じです。転職しても、付き合う人を代えても、同じような生きづらさを感じることになります。それを解消するには、自分が繰り返してしまっている思考・行動パターンを見つけて、崩す必要があるのです。

生きづらさの原因が、自分の性質や本質といった変えられないものではなく、後から作られた思考や行動であることがわかるだけでも、意識は前向きになります。後から作られた思考や行動は、壊して捨てることも、作り変えることもできます。そうすれば、いま抱えている生きづらさから、自分を解放することができます。

思考や行動パターンを崩すために役立つ心理療法のひとつに、「白黒思考改善療法」があります。現状に不満があったり、大きな悩みを抱えていると、マイナスな感情に支配されてしまう場面が数多く出てきます。そういうときに気持ちを切り替え、一歩踏み出すために効果のある療法です。

「不安」の正体とは

実際のやり方を説明する前に、不安な気持ちを引き起こすものの正体についてお話しましょう。人はなぜ不安になってしまうのでしょうか。

まず、「お先真っ暗」という言葉をイメージしてみてください。明るいですか? 暗いですか? きっと誰もが「暗い」と答えるはずです。

では、「暗い」イメージを頭に思い描くと、どんな気持ちになるでしょうか。

クライエント(相談)に同じ質問をすると、「不安な気持ち」「怖い」「絶望的な感じ」といった答えが返ってきます。みなさんも、同じようなマイナスな感情を持つのではないでしょうか。

なぜ暗いイメージを思い描くだけで、不安な気持ちになるのか。それは人の思考パターンが原因です。

人は先が見えない状況や正体がわからないものに、不安や恐怖を抱くものです。真っ暗な何も見えない場所に置かれたときはもちろん、そういう状況を想像するだけで、「もしかしたら暗闇のなかに、何か危険なものが潜んでいるかもしれない」「誰かが襲ってくるかもしれない」と悪い想像ばかりをして、怖くなったり心配になったりします。

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