――山口さんのエリート人生は、東大合格者の多い筑波大学付属高校に入ったときから本格的に始まっているような気がします。その時点で「スポーツより勉強のほうが生活の糧を得やすい」と判断したのでしょうか。
中学生のときに力試しに受けた学習塾の模擬試験で、1番になったことがきっかけです。北海道の(優秀層の)人は札幌南高校に入るのが普通なんですけど、私はより大きな可能性にチャレンジしたかった。高校生時代は東京に住んでいた祖母と2人暮らしです。
両親は共働きの医者で、「自分の生活は自分でなんとかしなさい」という雰囲気の家庭でした。子どもの頃、父が「おカネを稼ぐ方法は2つしかない。誰もやりたがらないことをするか、誰にもできないことをするか」と教えてくれたのを覚えています。父自身は「誰もやりたがらないことをする」ほど腹が据わっていないけれど、医師免許があるので食べているのだそうです。1歳下の妹は医者になりました。
自分より成績のいい人はいない
――基本書を1冊に絞り込んで反復練習を継続、という勉強方法は誰の教えですか。
やはり両親の教育が基本になっていると思います。幼い頃、同じ絵本を何回も何回も読み聞かせしてもらいました。妹には私が読んであげたのですが、私は、間違って絵本を逆さまにして読んでいた。文字を追っていたわけではないのです。それでも音読できました。何度も読んでいた絵本なので文章を暗記していたのです。
繰り返して身に付けるという勉強方法は、王道だと思います。1回の精読で読み取ろうと思っても疲れてしまいますが、何度も読むと思うと気楽にさらっと読めますし、繰り返しているうちに頭に入ってきますよ。
――基本書を1冊に絞り込むのは勇気がいりますね。
確かに、「あっちの本のほうがいいのでは?」と不安になりますよね。だからこそ、基本書を選ぶまでの正当化プロセスが大事です。大きな書店に行って何冊もじっくり比較検討してください。同じ項目をいくつか見比べて、「この本がいちばん詳しくて網羅的で正しい」という確信を得る必要があります。
ほかにもいろいろな勉強法があると思います。でも、結論として、私より成績がいい人はいませんでした。
――「自分より成績のいい人はいない」。東大首席卒業者にしか言えないセリフですね。しかも、成績表はすべて「優」というのが驚きます。
東大に入学したとき、周りがみんな賢いと思っていたので、「これぐらいやらないと『不可』を取ってしまう」と思って勉強しました。結果は全優。すごく気持ちよかった。1回全優だと、次からも優でそろえたくなりますよね。
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