凱旋門賞で惨敗の「日本馬」に必要なものは何か

今週末の天皇賞・秋は国内最強決定戦に

スミヨン騎手は「日本の馬はこういう馬場を走っていない。パリロンシャンは特別な馬場。雨が降ると一気に粘りの強い馬場になる」と語った。キセキはこれまでの遠征馬のようにフランスのシャンティイで調整された。

前哨戦のフォワ賞に挑んで3着。このレースを勝ったのがヴァルトガイストだった。4頭立てで控える競馬を試す予定が、押し出されて逃げる形になり、ヴァルトガイストに楽にかわされた。それでも本番では調子を上げて臨んだ。しかし、スタートで後手を踏んで先行できず、本来の競馬ができないまま流れ込む形で終わった。

ノーザンファーム天栄の調教馬2頭はブラストワンピース(牡4、美浦・大竹)が11着、フィエールマン(牡4、美浦・手塚)が12着に惨敗した。12頭立てのレースで屈辱的な敗戦だった。この2頭はイギリスのニューマーケットで調整されて、前日に空輸で臨んだ。ポリトラックのロングヒルとウォーレンヒルの2種類の坂路を効果的に使って、現地でも話題になるほど豊富な運動量をこなした。天栄と似た環境で調整過程は順調だったはずだ。

それが、ブラストワンピースは川田騎手が「難しい、厳しい戦い。体力の消耗が激しく、レース後はすぐに止まってしまい、その後も歩くのがやっとだった」と振り返った。走破時計は2分38秒43で上がり3F44秒37は完全な失速だ。キングジョージを記録的な強さで圧勝したハービンジャー産駒でパワーを評価されたこの馬がなすすべなく敗れた。

さらに、フィエールマンは好位につけたが最後は余力もない状態になった。走破時計は2分41秒73で上がり3F47秒93。最後の300mは流していた。「馬場がとても重たかった。日本馬はこういう馬場を走っていないから、トップスピードに加速できなかった。この馬場じゃ日本の馬は全然走らない」。欧州の馬もよく知るルメール騎手の言葉は重い。今回はパリロンシャンのコースとの勝負に完敗した形だ。

馬場を言い訳にしたくないが・・・対応策はあるのか

では、馬場状態を敗因のすべてにしてしまっていいのだろうか。確かに馬場は大きな要因の1つではある。昨年のジャパンCは2400m芝2分20秒6の世界レコードでアーモンドアイが勝った。速さを競う芝なら日本馬はおそらく世界一強いだろう。

日程面や検疫などの問題もあるが、何より高速馬場で強い日本馬相手に外国馬はジャパンCへの挑戦さえ敬遠するようになった。日本の芝では上がり3F33秒台が当たり前のGⅠ馬3頭が、欧州の異質の道悪で抵抗もできずに敗れ去ったのだ。「馬場を言い訳にはしたくない」と大竹正博調教師と手塚貴久調教師は口をそろえたが、あまりにも芝の質が違う。

毎年この言葉を繰り返しているが、ならばどうすればこの馬場に対応できるようになるのか。今年はノーザンファームが馬場適性を見込んでブラストワンピースとフィエールマンを送り込んだだけに、たたきのめされた感じがする。

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