母親からの支配と「承認欲求」から独立すべきだ 孫より「お金」が大事な母と縁切りする方法

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しかし「自分の人生を歩め」と夫に指摘されても、すぐにはその意味がわからなかったほどですから、あなたは仕事以外の面でも、相当お母様ファーストで生きてこられたということです。

そんなあなたの親離れには、相当なエネルギーと複雑な思いも交差すると思われますが、絶縁まで考えるのは、かえって後に悔いを残すものです。

人一倍、娘を頼ってきたお母様にも、子離れする時間が必要です。その意味でも思いの丈をお母様に伝えたのは、聞く耳を持たれなかったそうですが、よかったと思います。あなたが伝えないとわからない人なのです。折に触れ、伝えていくべきです。

世の中にはこじれにこじれて、これ以上は関わらないほうがよいと思われる親子関係も、たまにはあるものですが、あなたの場合はそれを感じません。何よりもあなたたちは別居していますし、あなたはお母様なしでも生きていける環境です。

人は許し許されて生きていますが、それは親子も同じです。そして情の深いあなたのことです。絶縁などすると、かえって生きづらくなると思います。今はお互いが自立するために距離を取る時間と考え、徐々に和解できる部分から和解していくような、穏やかにつながっていく工夫をするほうが楽に生きられると思います。

親子関係と仕事の再開は別に考えよう

ただし、もしあなたが、お母様との関係で、育休明けもそのお仕事をしたくないと考えるようなことがあれば、慎重になったほうがよいと思います。紙幅がありますので、「出産を機に保険の営業職を辞めた人」と、「無理してでも続けた人」のケースを紹介させてください。

明子さんと美智子さんは40年前、同じ保険会社の支社で働いていました。
明子さんは人脈が広く、苦労せず、いつも支社でトップの成績でした。その点、美智子さんは地元の人ではないので人脈はなく、1つの契約を取るのも大変で、毎日辞めたいと思っていたそうです。

ほかにも仕事を持っていた明子さんは、出産を機に早々と保険会社を辞めました。彼女はその後、3回ほど職を変えていますがどの職も大変だったそうで、振り返れば保険の営業こそ、自分がいちばん頑張れた分野だったと、何度も後悔したそうです。その後悔は、生活のために辞めるに辞められなかった美智子さんが今もハツラツと仕事をしている姿を見ると、顕著になると言います。

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