「渋谷ハロウィン」地元民が怒るバカ騒ぎの実害 商店街理事長「あんなのマイナス経済効果」

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――今後の渋谷、今後のハロウィンは、どういう方向にもっていきたいとお考えですか?

小野「もともと来ていたファミリー客は、怖くてハロウィンの時期の渋谷には来られないんですよ。今の区長は、安心安全の治安とにぎわいを一緒に走らせたい、という考え方。でも僕は、治安が先にいけば、にぎわいは後からついてくると思う。

渋谷もヨーロッパを見習って、商店街のスタンプラリーのような新たなハロウィンを提供しようと言っています。要するに、お店の中でやる。そうすれば、お店側もウェルカム。従業員が仮装をしてお客さんを迎えるとか、方法はいっぱいでてくるはずです」

理想は「家族が安全に楽しめる渋谷」

『ジャパニーズハロウィンの謎 若者はなぜ渋谷だけで馬鹿騒ぎするのか? (星海社新書)』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

『家庭と防犯』(2019年2月)においても「若者の街・渋谷はファミリーが楽しめる街へ」というタイトルでお二人へのインタビューが掲載されていた。

ロンドンのように屋内で上品に楽しむハロウィン、家族が安全に楽しめるような渋谷を作っていくことが、小野理事長らの理想なのだ。

「変態仮装行列」「バカ者」といった表現は非常にユーモラスだが、センター街や近隣住民、買い物客が受けている被害は決して笑えるものではない。「若者の街」のイメージと安心・安全な街との狭間で葛藤する渋谷を、商店街、そしてパトロール隊の立場から支えるお二人の熱い思いが伝わってくるインタビューだった。

松井 剛 博士(商学)

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まつい たけし / Takeshi Matsui

1972年生まれ。博士(商学)。専門はマーケティング、消費者行動論、文化社会学など。

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一橋大学商学部松井ゼミ15期生
ひとつばしだいがくしょうがくぶまついぜみじゅうごきせい

マーケティング、消費者行動論、PRなどを3~4年生の2年間で学ぶゼミ。毎年、受講希望者があふれるこのゼミでは、マーケティングに関するさまざまなプロジェクトを行っている。今回、13人の学生(男子5人、女子8人)がジャパニーズハロウィン・プロジェクトに参加した。卒業論文のテーマは、MCバトル、マッチングアプリ、応援上映、御朱印ブームなどいろいろ。

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