なぜ経営陣は「困った上司」を野放しにするのか 部下をつぶす中間管理職には共通点がある

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1. 自己中心的

自分の信念を貫くというよりは、気分次第で対応を変えるのが特徴です。さっきまでいいと言っていたのに、急に方向転換をしたり、途中経過の報告が自分になかったなどを理由に、へそを曲げて進行案件を中断させることなどは日常茶飯事、そのときの上司の気分次第で理不尽に仕事をストップせざるをえず、遅延が起こったり、妨害されたりするので、現場は振り回されてしまいます。

2. 威圧的

とにかく、発言が高圧的で、「大きな声」「強い語気」「さげすむような態度」がセットになっている傾向があります。反対に「無表情」「嫌みっぽい」「返事をしない(こちらの話を聞いているのかわからないような態度)」のような静かに威圧するタイプの場合もあります。

いずれにしても、関わるたびに神経がすり減り、次に何か言われるのではないかと思うだけで、仕事に集中できなくなったり、上司がそばに来るだけで(場合によっては同じ部屋にいるだけで)いつもできる仕事をミスしてしまうような悪循環に陥ります。

3. ダメ出し(粗探し)

資料の行替えのポイントや、図表の位置などの細かいところに執拗にダメ出しするなど、重箱の隅をつつくような指摘を繰り返すことによって、部下のやる気を徐々にそいでいきます。

認めることせずにダメ出しを繰り返されると、部下は自信をなくし、自主性をそがれてしまいます。自分で判断することを恐れるようになり、何か言われる前に確認しようと指示を仰ぐと「そんなことぐらい自分で考えろ」と言われてしまうのがおちで、八方ふさがりになりがちです。

その人物を放っておく組織の論理

このような上司の下に配属された人たちがみな捨て駒のようにやめて行ったり不調を抱え込んでしまうのにもかかわらず、なぜ組織はその人物を放っておくのでしょうか。

・数字を上げている

ワンマンだからこそ、ごり押しがきく粘り強さがあったり、社外にはよい顔をして顧客の無理難題にも応える(結果、内部にしわ寄せがくる)ことが、数字につながっているケースが、多くみられます。

・その人にしかわからない業務や昔からのパイプがある

なんだかんだ言っても最終的には、コネで仕事が決まったりします。人脈があり、既存の客先との関係性ができている場合に、その人物を重要視せざるをえないケースが見られます。

また、古くからいるというだけで、その人にしかわからない業務が複数存在し、頼りにせざるをえないことも多くあります。結果を生んだり、自分にしかできない業務があるからこそ、「俺様」感はよりバージョンアップしていきます。

いずれにせよ、経営層は目先の数字に惑わされるわけです。

次ページ人がいなくなることに対する危機感が薄い
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