専業主婦は「良妻」か「毒妻」か 妻に働いてほしくない夫の本音
日本女子大学の永井暁子准教授(家族社会学)はこう話す。
「家事・育児・家計においてすべての夫と妻が50%ずつの対等になることはありえない。それぞれの夫婦のやりやすい分担の形があっていいが、結局、妻が家事をするほど夫は満足するのが現実です」
永井准教授が関わった12年のパナソニックの調査によると、夕食に4品以上あると夫の満足度が高かった。STAP細胞を発見した研究者の小保方晴子さんでさえ、研究内容にも増して割烹着が話題になったほど、「良妻賢母」の偶像は相変わらず強固な支持を集めている。
毎朝おにぎり持参
マスコミ勤務の男性(31)が深夜にほろ酔いで帰宅すると、冷蔵庫にはラップで覆われたホッケの塩焼きとサラダが用意されていた。仕事柄、急な残業や接待が多く、専業主婦の妻(31)には夕食が必要かどうかの連絡をしたことがない。それでも必ず自分のおかずも作ってある。
「子どもの夕食を作るから手間は同じでしょう。僕が食べなくても翌日に妻か子どもが食べているみたいだし」
家事をしたことのない夫には、魚焼きグリルをもう1回転させる手間や、冷蔵庫の野菜を余らせない苦労はピンとこない。夫にその労力を感じさせないのが「良妻」なら、「食べるなら連絡してよね」と文句を言う多くの専業主婦は「毒妻」なのか。
男性の年収は800万円。結婚前までメガバンクに勤めていた妻は倹約家で、男性の給与口座の残高を隔週で記帳し、カード明細にも隅々まで目を通す。外食を嫌い、毎朝おにぎりを握って持たせてくれる。
「今日は牛乳が3円安かった」
「特売のインスタントコーヒーを5本買っておいた」
そう目を輝かせながら話す。はっきり言ってどーでもいいが、飲み会で数万円を散財するのが後ろめたくなり、妻への感謝と愛情がふつふつと湧いてくる。
一方、妻の家事能力が低いと、夫の不満はたまる。