キリン、ノンアルビールで「打倒アサヒ」なるか 健康志向が追い風、消費増税で駆け込みも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ノンアルコールビールは、サントリーホールディングスが7月に機能性表示を備えた「からだを想うオールフリー」を投入。サッポロも尿酸値を下げる効能のある機能性表示食品のノンアルコールビールを開発中だ。

ところが、国内ノンアルコールビール市場の規模はビール類市場の5%弱に過ぎない。ユーロモニターによると、2018年のビール類の販売量が約56億リットルだったのに対し、ノンアルコールビールは約2億6000万リットルにとどまる。販売額は約1兆8000億円のビール類に対し、670億円に過ぎない(2017年、富士経済調べ)。

ノンアルコールビール市場の先駆者だったが…

小さい市場であるにもかかわらず各社が傾注する理由は、市場が急速に拡大すると見ているからにほかならない。背景には、まず10月に実施された消費増税がある。ビールは消費増税の対象になり、駆け込み需要も起きた。一方、ノンアルコールビールは清涼飲料と同じ分類になり、軽減税率の対象となった。税率の差があることから、各社は今後ノンアルコールビールの需要が増えると見込む。

さらに機能性表示食品の市場は、健康志向の高まりに伴い、拡大傾向にある。富士経済によると、2015年に304億円だった機能性表示食品の市場規模は、2019年には2500億円を超える見込みだ。

そもそもノンアルコールビールの市場を拡大したのはキリンだった。2009年に、競合に先駆けてアルコール分0.00%のビールテイスト飲料「キリン フリー」を発売した。

それまで微量のアルコールが含まれていたノンアルコール市場(アルコール分1%以下の商品を含む)の中で、アルコール分が完全に含まれない商品は需要が高く、ノンアルコールビール市場における2009年のキリンのシェアは8割にのぼった。

次ページまたたく間にシェアを奪われたキリン
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事