高校、大学、社会人。いつプロ入りすべきか プロ野球選手とタイミング

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技術的に言えば、吉田が最も優れる点はコントロールだ。ストレートの球速は常時140キロ台前半から中盤を計測し、両コーナーに絶妙の制球力で投げ分ける。社会人時代は、「調子のいいときはアウトコースだけで抑えられるので、あえてインコースを使わず、行けるところまで外角のみで押していくこともあった」。コントロールがいいと投げミスが少ないため、使う側は計算を立てやすく、それゆえ即戦力と期待されている。

もともとコントロールを持ち味としていた吉田は、JR東日本でさらなる磨きをかけるため、計画的に練習した。特に重視したのが、体幹トレーニングだ。同時に普段の練習では、つねに理想のフォームで投げることを心掛けた。

「たとえば抜けたボールを投げた後、次の1球で修正するためにはどんな意識をすればいいのか。そういった引き出しは、普段のピッチング練習で探すしかないと思います」

「吉田にはムラがない」

制球力を高めるためには、安定したフォームで投げ続けることが求められる。そのために欠かせないのは、本当の意味での技術だ。JR東日本の監督として2011年の都市対抗野球を制し、吉田を2年間指導した堀井哲也が説明する。

「ボールをコントロールしようと思ったら、自分をコントロールしないとできない。相手から逃げる気持ちやストライクを欲しいという色気が、コントロールの乱れにつながっていく。それを含めて技術。そういった意味でボールをコントロールできるようになるには、日々、いかにして積み重ねていくかだと思う」

堀井によれば、吉田はJR東日本時代、つねに最後まで練習していた。黙々と努力し続ける姿を見ながら、指揮官はこう感じていた。

「過去に十亀剣(西武)、小林太志(DeNA)、山口和男(元オリックス)とドラフト1位を3人輩出してきたが、吉田はメンタルの安定感が図抜けている。ブレない強さを持っていて、目標に向かってコツコツと努力していくことができる。好きな野球をしているとはいえ、毎日行っていると、普通はムラが出てくる。でも、吉田にはそれがない。『彼をそうさせるものは何なのだろう?』と、いつも思っていた」

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