「根性がクソ弱い」チームを立て直す方法 新日鐵住金かずさマジックの改革劇

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新日鐵住金かずさマジックの鈴木監督

根性がクソ弱い

長い歴史で輝かしい業績を誇りながら、近年は低迷する組織を、どうすれば立て直すことができるのだろうか。そのヒントを与えてくれる人物が、社会人野球界にいる。

そのチームはかつて、松中信彦(ソフトバンク)や下柳剛(元阪神)、渡辺俊介(レッドソックス)など、名選手たちをプロ野球に輩出してきた。千葉県君津市に本拠を構える、新日鐵住金かずさマジックだ。

JX-ENEOSやJR東日本、東芝ら企業チームが隆盛を誇る社会人野球界にあって、「市民球団」を名乗る新日鐵住金かずさマジックは2013年秋、創部40年目で初めて日本選手権を制した。一時期は休部の危機に瀕し、長らく低迷期に陥っていたチームは、なぜ、悲願を勝ち取ることができたのだろうか。その背景としては、業績回復が軌道に乗っている本社同様、組織の抜本的改革に成功したことが挙げられる。

「このチームは、根性がクソ弱い。血を入れ替えないと、変わっていかない」

鈴木秀範は2008年に監督就任すると、自身が現役時代を過ごしたチームの惨状を目の当たりにした。引退から3年間社業に就き、指導者として現場復帰すると、選手のメンタリティが地の底まで落ちていた。社会人野球の2大大会である都市対抗や日本選手権の予選で敗れた直後、「今年は休みを何日もらえるかな」と話している者がいたのだ。

新日鐵住金かずさマジックは、もともと新日鐵君津という企業チームだった。それが2003年、新日鐵本社がスポーツ支援態勢を見直したことにより、広域複合企業チーム「かずさマジック」として再出発を果たす。03年こそ都市対抗、日本選手権ともに出場したものの、翌年からは6年連続予選敗退に終わった。

そんな折に監督として招聘されたのが、新日鐵君津で4番打者を務めた鈴木だった。

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