プロ野球人気の陰で「独立リーグ」の厳しい現実 野球の未来のためNPBとの連携は重要だ

✎ 1〜 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 55 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

選手の年俸はNPB球団が負担し、独立採算で運営する独立リーグに選手を派遣する。今のMLBと傘下のマイナーリーグと同じ関係にすべきだということだ。小林氏は、NPBが直でファーム組織を運営するより、独立リーグ球団に選手を委託するほうが、コストパフォーマンスがいいことも指摘している。

独立リーグがNPB球団の傘下に入るほうがいいという考えは、筆者もこのコラムで主張してきた。

現在の「ボールパーク構想」の生みの親の一人でもあり、アメリカの独立リーグ、マイナーリーグの取材を重ねた小林氏が言えば、重みが違う。小林氏はこの考えをNPBや球団関係者に提示したが、芳しい反応は得られなかったという。

独立リーグにはNPBの救いの手が必要だ

著書の最後で、小林氏はMLBが、四国アイランドリーグplusとルートインBCリーグに対して、買収のオファーを出していることにも言及している。
MLBは休止していたオーストラリアのプロリーグに出資し、2010年にABL(オーストラリアン・ベースボールリーグ)を創設。中国でも今年の8月に中国プロ野球連盟(CNBL)と提携してプロリーグの創設を打ち出した。

アジアの人材供給源として、MLBは日本の独立リーグを高く評価している。MLBの世界戦略に組み込まれる可能性は大いにあるのだ。筆者もこの話を四国、BCの経営トップから聞いた。両者ともにNPB球団への義理立てもあって、躊躇している印象だった。

しかし、日本の独立リーグに残された時間は少ない。

十数年にわたって地道で報われることが少ない努力を重ねて、地域の野球の“水源”を守り続けてきた独立リーグに対して、今季、史上最大の観客動員を記録したNPBは、救いの手を差し伸べる必要がありそうだ。マーケティング的にも、選手の育成面でも、大きなメリットをもたらす。

それは、野球の未来へ向けて新しい一歩を踏み出すことでもある。

広尾 晃 ライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事