オフィス街の「エコ配」で人手不足解消なるか 1日2~4時間勤務で実質時給4000円も可能に

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現在、エコ配フレックスの配送拠点となる事業所は中央区が5、渋谷区1にとどまるが、今後事業所を拡大していく。また、配送する荷物の数を増やすために、現在は京橋店と日本橋小舟町店のみだが、自転車配送のフレックス対応も進めている。自転車が使えれば、配送エリアを事業所から半径5km圏内へ拡大できる。

ただ、自転車配送は台車と違って事故の危険性があるため、事前研修を義務づけている。「(自転車配送の)安全講習は現在、6時間の座学と実習で終えている。(講習の)拘束時間が長くなってフレックスの手軽さがなくなっては(極力短時間で稼ぎたい人にとって)本末転倒だ」(エコ配広報)という。

エコ配フレックス拡大でコスト削減も

エコ配は自転車による宅配便が本業で、かつては楽天傘下にあったが黒字化できず、2015年9月にアスクルの子会社となった。エコ配の2018年10月期の純損失は6億9300万円で、繰越損失は10億7600万円にまで拡大している。

アスクルから毎朝、事業所に届けられる荷物を社員が仕分け。配送エリアも考えながら仕分けるので、1時間ほどかかるという。(記者撮影)

エコ配の仕事をフレックス・クルーに任せられれば、荷物数に応じて人件費が調整できるようになり、エコ配のコスト削減にも寄与する。

片地氏は「フレックスの比率をさらに上げたい。個数や配送先が決まっている荷物はフレックス・クルーに、突発的事態への対応やシフト管理などのバックヤード業務は社員に任せたい。目指すのは社員2人でフレックス・クルーを監督して事業所を運営する体制だ」と意気込む。

エコ配全体で配送を担う人員の比率は現在、正社員が9割でフレックス・クルーが1割。コスト削減の成果はまだ小さいが、「まだまだ改善の余地がある」(エコ配広報)という。

法人向けという限定した分野の事例だが、エコ配フレックスのクルーの働き方は人手不足解消の一助になるかもしれない。

佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

不動産業界担当。オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設などを取材。REIT、再開発、CRE、データセンターにも関心。慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界などを担当。

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