イオン社長が漏らした「アマゾンへの危機感」 EC売上高1.2兆円を目指すが道のりは険しい
「小売業が気づかないことを教えてくれた。彼らのやっていることに追いつかなければならない」。イオンの岡田元也社長はアマゾンの名を何度も挙げ、危機感をあらわにした。
12月12日、イオンは中期経営計画の説明会を開いた。決算会見などでは複数の役員を従え会見場に入ってくる岡田社長だが、この日は珍しく1人きりで入場。「1年半をかけて、グループの将来像について議論してきた」と切り出し、2020年度に売上高に相当する営業収益は10兆円(2016年度8.2兆円)、営業利益は3400億円(同1847億円)を目指すことを表明した。
リアルならではの強みを生かす
目標達成に向けさまざまな方針が示される中、岡田社長が最も力を込めて語ったのがEC(ネット通販)戦略だ。イオンの2016年度のEC売上高は約575億円、グループ全体の売り上げに占める割合は0.7%にすぎない。
競合のセブン&アイ・ホールディングスは今年7月に生鮮宅配などでアスクルと提携したほか、2018年春には自社ECサイト「オムニセブン」と連動するスマートフォンアプリをリリースする。一方でイオンは、「そうとう出遅れた」と岡田社長が認めるように、これまでEC戦略の具体的な道筋を示してこなかった。
ネット企業が利便性の高さと低価格を打ち出す中、イオンはリアルならではの強みを生かすと強調。楽天市場のようにさまざまな事業者が出店する方式のECを始めることを明らかにした。今まで築いてきたネットワークを生かし、地場産品を提供するなど差別化を図っていく。2020年度にEC売上高1.2兆円を目指す構えだ。
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