成城石井のトップバイヤーのすごすぎる仕事愛 商品開発までやるバイヤーの仕事術

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
拡大
縮小

――加工メーカーとの交渉もバイヤーがやっているとは驚きです。こだわっているのは原材料だけではないんですね。

原材料の豆を生産者がどう育てているかも、すごく大事です。けれどもいい原材料であっても、焙煎や袋詰めの過程がよくなければ、おいしくなくなってしまいます。焙煎がゆるいと、クルミはとくにえぐみが出てきてしまう。逆に焙煎を強くしすぎると焦げ臭くなります。バランスをとりながら、もう少し火を入れてもらうとか、そういうことをして仕上げました。

――そこまで細かい指示を出して、加工メーカーに嫌がられないですか?

メーカーさんもモノづくりの人なので、そこまでこだわって作ったことがないからうれしいと言ってくださいます。切磋琢磨して作り上げた商品が売れると、お互いにうれしいですよね。

バイヤーは、こだわりをポップでアピールしたり、売り場でどこに置くかなど、そういった指示もしています。すると、発売後に売り場を見にきたメーカーさんが「すごくいい場所で売ってくれて本当にうれしかった」と言ってくれたり。それが次の商品につながっていきます。

チョコレートの売り上げを回復させたアイデアとは

――成城石井のバイヤーならではと思う仕事は、ほかにありますか?

「成城石井 ナポリタンチョコレート」は、使いやすいサイズの詰め合わせにして売っています。海外に魅力的な商品はたくさんあるのですが、1袋で2キロなど、サイズの問題で断念せざるを得ないものが多くありました。そこで、大きいサイズで輸入して、自分たちで詰め合わせています。中身だけで輸入すれば、包材などのコストが抑えられます。こういったアイデアも出しています。

――いろんな種類のチョコレートを少しずつ食べたいですもんね。この商品は売れましたか?

自分たちで詰め合わせているナポリタンチョコレート。価格は取材時のものです(撮影:今井康一)

すごく売れました。これが出るまでは箱詰めの製品が当たり前でした。10年以上前は輸入品のチョコレートがたくさん並んでいる店は成城石井くらいでしたが、だんだんほかでも売られるようになり、売り上げは落ちていました。それがこの商品を入れたことで、売り上げが回復したんです。今では売り場の半分から3分の1くらいが、こういった商品です。

次ページ買い付けはどこで?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT