斜陽の「銭湯」で大胆に集客する44歳の経営手腕 外の世界で別の仕事にも就き、家業に戻った

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銭湯と言えば、風呂上がりに瓶の牛乳やコーヒー牛乳を飲むのが楽しみだという人も多いだろう。

日曜日の朝湯の際に、“朝湯カフェ”という催しを開催していた。お風呂に入った後に、番台の前にテーブルを出してコーヒーを楽しんでもらっていた。

「珈琲牛乳フェス」は予想以上の来場者でにぎわった(写真提供:原延幸さん)

その延長線上での企画で、カフェを経営している人たちに集まってもらい、本格的なコーヒー牛乳を提供した。それと同時に、各店舗で出しているケーキやサンドイッチも提供した。

「100~150人くらいの人がイベントに参加してもらえれば御の字かなと思っていたんですが、ふたを開けたらはるかに超えてしまって。コーヒーはいれっぱなし、食べ物はなくなっちゃって追加分をお店に取りに行く、とあたふたしてしまいました。

ちゃんと企画を立てて、イベントをしたら、みんな来てくれるんだな、と実感しました」

自分のお店のロゴをTシャツや入浴剤、せっけんなどにプリントして販売している銭湯は少なくない。殿上湯も、オリジナルのグッズを販売している。

敷地の一部をシルクスクリーンの製作所にする計画も

「ただ、ロゴをのせるだけではつまらないなと思うんですよね。どうせなら風呂屋から、ストリートブランドを発信したいなって。絵がうまくてデザインもできる友達に頼んで、作品作ってもらいました」

デザインのできる友達に頼んで作ってもらったTシャツを着る原さん(筆者撮影)

インタビューの日に原さんが着ていた、骸骨がマッサージ機に腰掛けているオシャレなTシャツがその作品の1つだった。普通に着たくなる、カッコイイTシャツだと思った。

原さんのスケーター(スケートボードをプレイする人)の知り合いは、自分たちでシルクスクリーンの型を使ってオリジナルTシャツを作る技術を持っていた。敷地の一部を改装して、シルクスクリーンの製作所にする計画もある。

「お風呂はいる前に、ボディー(服)とデザインを選んでもらってその場で刷って、帰りには着て帰ってもらうとかもいいなと思ってます」

殿上湯は、ランニングのスタート&ゴールとしても提供している。

荷物を殿上湯のロッカーに預けてランニングをした後、銭湯に戻ってきてひとっ風呂浴びる。ランナーにはとても気持ちがいいサービスではないだろうか?

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