そんな40歳ごろ、現在の妻となる女性に出会った。
素直に「こういう現状なので、いっそ銭湯をやめようかな?と思っている」と伝えると、
「もったいないから続けようよ。協力するから!!」
と言ってくれた。
「奥さんはメディア関係のプロモーションの仕事をしていました。情報を集めるのも、発信するのもプロなんですよね。僕がやりたいことを言えばすぐに調べてくれるし、イベントの宣伝もしてくれました。僕がなんだか嫌でやっていなかったSNSも妻のすすめで始めることになりました」
SNSの影響力で、アイデアがどんどん実現化
殿上湯の公式ホームページは、老舗銭湯のホームページとは思えないほど洗練されている。
ホームページ内の、フォトギャラリーでは銭湯の様子や、今まで開催してきたイベントの様子を見ることができる。
また、ツイッターでは“殿上湯の嫁”というアカウントで、原さんの奥さんがゆるい雰囲気で情報をつぶやいている。ツイッターで居候(住む部屋とご飯を提供するので、掃除などの手伝いをする人)を募集したところ、2000近いリツイートがあった。
「インプレッション(ツイートを見られた数)を見たらかなりの数になっていて、こんなにも影響力があるんだ、ってビックリしました。
そういう環境になったので、どんどんアイデアを実現化していきました。お風呂の中でイベントをやりたいと思っていたので、実際にやってみました」
風呂場にピアノを入れて演奏会をしたり、風呂場にやぐらを組んで和太鼓の演奏会をしたりした。
たくさんの集客があり、ニュースとして報道もされた。
「口笛で世界一という男の子をよんできて、風呂に入りながら口笛を聞く、というイベントも開催しました。
子供の頃、お風呂に入ってた時に、すごい口笛の上手いおじさんがいたんですよね。それを聞いているのがすごく楽しくて、やりたかったんですよ」
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