韓国の若者7人が語る「日本への正直な気持ち」 就職難の中で必死に生きる彼らの本音

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B君:やっぱり歴史問題がまだしこりとして残っていますよね。僕たち世代が直接経験していなくても、かつて起こったこと、上の世代が感じてきたことが、僕たち若者にも伝わっていますから。どうしても日本は韓国にとって競争の対象になってしまいます。サッカーの日韓戦も竹島の領土問題も。

(ここで通訳者が「竹島」と訳したところ、日本語を理解するB君が割って入り、「すいません、竹島ではなく独島〈竹島の韓国での呼称〉です」と日本語で訂正し、場が凍る)

日本に対する競争意識は、若い世代になればなるほど少しずつ薄れていると思いますが、やっぱり残っているといえば残っていますね。韓国メディアが、日韓関係が悪化するほうに世論を誘導するのもよくないなと思いますが。でもやはり、従軍慰安婦の問題も国と国の問題として日本政府には謝罪してほしいです。

原田:1993年の河野談話、2015年の慰安婦合意など、正式に日本は国として何度か謝罪しているのだけど、戦争から年齢的にかなり遠い君たち高校生世代でもまだ謝罪が足りないと思っているんだね……。

A君:(割って入る)あ、ちょっと、いいですか。僕は日本を肯定的に見る韓国人のうちの1人です(笑)。僕は他人に迷惑をかけない日本人の性質がとてもすばらしいと思うし、気に入っています。僕はロボット工学を学びたいと思っていますが、ロボット大国としての日本もリスペクトしてるんですよ。技術もそうですが、ほかの国とは異なる創造的な日本のデザインにも惹かれますし。

若者世代が担う日韓関係の行方は…

原田:今日は皆さんへのインタビューなので僕の意見や反論などは控えますが、遠慮せずに率直に思っていることを話してくれてありがとうございます。

皆の話を聞いて君たちが「韓国の平均的な高校生」ではないことを差し引いても、でも、やっぱり正直かなり驚きました。まだ若い君たちに、戦争のしこりがこれだけ残っていることに。

日本では韓流好きな若者たちもたくさん出てきているし、韓国の若者たちの間でも日本好きはたくさんいるので、さまざまな考え方の違いを乗り越え、今の若い世代が社会の中心になったときには、今、存在する日韓のゴタゴタが解消されていることを期待していますね。

B君:はい、政府同士のことはどうあれ、僕は日本の文化に興味があったからこそ日本語を習ったので。『HUNTER×HUNTER』のアニメもX JAPANも大好きですし(笑)。

Eさん:『HUNTER×HUNTER』は私も!

原田:『HUNTER×HUNTER』、人気だなあ(笑)。

 

【座談会を終えて】
今回、韓国の高校生たちが素直に話してくれたことで、韓国政治や韓国社会の問題がたくさん見えてきました。また、日韓関係のぎくしゃくは、今の若者たちが中心となる令和の時代にもきっと引き継がれてしまうであろうことも――大変残念ではありますが――想像できました。
確かに日韓の間にはたくさんの問題が存在しています。ただ、世界中で若者研究を行っている立場として両国を俯瞰的に見ると、今、両国の歴史上かつてないほど、日本と韓国の若者たちは互いに接近してきていると思います。
日本の若者たちは、男女ともにK-POPと韓国の食べ物が好き。女子は加えて、メイクやファッションの影響も大きく受けています。一方、慰安婦問題や領土問題で日本の政治面に嫌悪感を示す韓国の若者たちも、文化やトレンド分野での日本からの影響は少なくありません。なにより日韓は物理的な距離が近いので、両国の若者たちにとって身近な海外旅行先です。
この若者たちの互いに惹かれるピュアな感性が、令和の時代に花咲くといいと、心から願っています。

(構成:稲田豊史)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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