紀州のドン・ファン騒動が教える「遺言の威力」

特定の人の取り分を"半減"させる方法もある

故人が残す「遺言書」には、どのような効力があるのでしょうか?(写真:タカス/PIXTA)

2018年5月に急逝した「紀州のドン・ファン」こと、和歌山県田辺市在住の資産家・野崎幸助氏。彼が「全財産を田辺市へ寄付する」という遺言を遺していたことが判明し、波紋を呼んでいましたが、2019年9月13日、田辺市が遺言に基づき、遺産を受け取る方針を固めたことが明らかになりました。

こうした「遺言」には、実は知られざる意外な効果があります。今回はその効果についてご紹介しましょう。

遺言がなかった場合の相続方法

今回の野崎氏のケース。もし遺言がなかったとしたら、遺産はどのように分けられることになったでしょう?

遺言がない場合は、亡くなられた方の法定相続人(配偶者と血族)同士の話し合いによって、遺産の分け方を決めることとなります。これを「遺産分割協議」といいます。

野崎氏のケースに当てはめると、野崎氏の親はすでに他界されており、お子さんもいないため、法定相続人は妻と野崎氏の兄弟ということになります。この方々で協議を行い、遺産の分け方を決めることとなります。

どのように分けるかは相続人同士の話し合いにより自由に決められます。全財産を妻がもらうでもよいですし、人数で頭割りでもよい、とにかく相続人全員が賛成すれば、それで成立です。

重要な点は、遺産分割協議は全員一致でないと成立しないという点です。多数決ではありませんので、1人でも意見の合わない相続人がいたり、分割協議そのものに参加しない相続人がいたりすると、話し合いは難航し、長期化するのが一般的です。

なお、遺産は「法定相続分」どおりに分けないといけないと思い込んでいる方が大変多くいらっしゃいますが、「法定相続分」は、分け方が決まらないときの目安として、民法で定められた取り分にすぎません。この「法定相続分」に縛られる必要は一切ありません。

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