スパゲッティに「塩」「差し水」は、むしろ余計だ 日本人があまり知らない麺類の事実

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──つまり、無意味。

弾力に関しては。風味づけならありえますが、風味がつくほど入れると、すごく塩辛くなる。弾力を増すなら重曹ですが、もともとコシがあるので中華麺のようになる。パスタをラーメンにしてもね。そうめんをゆでるときに重曹を入れて弾力を増し、チャンプルーなど2次調理向けにするというようなのは理にかなっています。

糖質制限すればいいというものでもない

──差し水もすべきではない?

でんぷんを軟らかくするだけなら60度程度で十分です。水を沸騰させるのは、グルテンを熱変性させ食感を高めるため。さらに言うと、小麦粉にはアミラーゼ阻害剤という毒性のタンパク質が含まれており、小麦粉を生で食べるとお腹(なか)を壊しますから、よく火を通して失活させないといけない。差し水はしちゃ駄目、です。

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──水蒸気調理法の提案などいろいろありますが、食べ方も重要。

学生のお昼を見ていると、お腹が満たされるので特大のカップ焼きそばを食べたりしています。これだけでは血糖値が急上昇し、下げるために多量のインスリンが分泌され、下がりすぎると今度はアドレナリン。体にいいわけがない。

じゃあ、はやりの低糖質ダイエットのように糖質を制限すればいいかというと、これも問題がある。血液脳関門を通れるのはグルコース(ブドウ糖)。これを遮断する危険性は認識すべきでしょう。

要は食べ方です。肉や魚などのタンパク質や野菜を先に食べてから麺。懐石料理も締めに糖質です。うどんなら素うどんより、きつねうどん、天ぷらうどんがいい。

──お好きな麺料理は?

麺はどれも好きです。ただ、ソウルフードという意味では「天下一品」のラーメン。私が学生の頃、木村勉会長が屋台を引き始めていて、たくさんの京大の学生が縁石に腰を下ろして食べるんです。週に3回は食べたかな。今も食べますが、コッテリ系なので月1回と決めています(笑)。学生を数人連れて、研究の愚痴を聞いたりしながら盛り上がっています。

筒井 幹雄 東洋経済 記者

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つつい みきお / Mikio Tsutsui

『会社四季報』編集長などを経て、現職は編集委員。

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