外国人観光客に「日本語」で話すとどうなるか 外国人=外国語で話さないとダメ、ではない

✎ 1〜 ✎ 298 ✎ 299 ✎ 300 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「外国人=英語で話しかけなければいけない」と思っていませんか?(写真:foly/PIXTA)
外国人と話すときは外国語を使う、というのが日本人の常識だろう。が、日本でも外国語を使うべきなのか。日本に来る外国人(インバウンド)は日本に興味があって来ているわけだし、全員が日本人にとって代表的な外国語=英語を話すとは限らない。『「やさしい日本語」で観光客を迎えよう インバウンドの新しい風』を書いた東海大学の加藤好崇教授に、外国人と日本語で話すコツを聞いた。

防災・減災の観点から生まれた日本語

──「やさしい日本語」というカテゴリーがあるんですね。

もともと阪神・淡路大震災をきっかけに、日本語の得意ではない外国人に情報を伝える、防災・減災の観点から生まれました。また、在留外国人と日本人の多文化共生のツールとする考えもあります。

──それを観光でも使おうと。

東日本大震災でインバウンドがいなくなったとき、この機にツーリストトーク、つまりインバウンドへの言葉遣いの問題点を洗い出して、平常化に備えようと思いました。日本各地の観光現場を回ると、「外国のお客さんに日本語を使ってもらうと申し訳なく思う」という話をほうぼうで聞く。

「申し訳ない?」と違和感を持つのに多少時間を要し、私自身も「外国人とは英語」というステレオタイプを持っていたことに気づきました。で、思ったんです。「ツーリストトークに日本語が使えるな」と。その後「やさしい日本語ツーリズム研究会」に出合い、日本語の可能性を顕在化させたいと考えました。

──すごい発想の転換です。

国際交流基金の調べでは、2015年時点で世界の日本語学習者は約365万人。さらに、香港の抗議運動のリーダー、周庭さんのようにネットなどで学んでいる人もいる。学習者数の国別順位とインバウンドの国別順位はだいたい重なるので、インバウンドには日本語学習経験者がそれなりにいるはずです。経験上、旅行グループに1人は日本語を話せる人がいる感じ。また、2018年末時点で約273万人の在留外国人がいて、中には旅行する人もいるでしょう。

次ページ外国人で日本語で話すメリット
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事