防災・減災の観点から生まれた日本語
──「やさしい日本語」というカテゴリーがあるんですね。
もともと阪神・淡路大震災をきっかけに、日本語の得意ではない外国人に情報を伝える、防災・減災の観点から生まれました。また、在留外国人と日本人の多文化共生のツールとする考えもあります。
──それを観光でも使おうと。
東日本大震災でインバウンドがいなくなったとき、この機にツーリストトーク、つまりインバウンドへの言葉遣いの問題点を洗い出して、平常化に備えようと思いました。日本各地の観光現場を回ると、「外国のお客さんに日本語を使ってもらうと申し訳なく思う」という話をほうぼうで聞く。
「申し訳ない?」と違和感を持つのに多少時間を要し、私自身も「外国人とは英語」というステレオタイプを持っていたことに気づきました。で、思ったんです。「ツーリストトークに日本語が使えるな」と。その後「やさしい日本語ツーリズム研究会」に出合い、日本語の可能性を顕在化させたいと考えました。
──すごい発想の転換です。
国際交流基金の調べでは、2015年時点で世界の日本語学習者は約365万人。さらに、香港の抗議運動のリーダー、周庭さんのようにネットなどで学んでいる人もいる。学習者数の国別順位とインバウンドの国別順位はだいたい重なるので、インバウンドには日本語学習経験者がそれなりにいるはずです。経験上、旅行グループに1人は日本語を話せる人がいる感じ。また、2018年末時点で約273万人の在留外国人がいて、中には旅行する人もいるでしょう。
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