教え子の留学生が、帰国前に一人旅に出て日本語を使おうと思ったけれど、宿の女将(おかみ)が英語ペラペラ、日本語であいさつしているのに英語で返されて最後まで英語、という残念な例もあります。
──とにかく日本語で話す。
3ターン、つまり①自分の発話、②相手、③自分、の③までは相手が何語で返してきても日本語を使いましょう。次の返事が日本語でなければ日本語はやめて、日本語なら可能な限り日本語を交えて会話を続ける。四国で試したら9割は日本語が返ってきました。新宿のゴールデン街に研究でよく行きますが(笑)、飲みながらだと日本語、英語ちゃんぽんになります。意外と日本語は通じます。
多文化共生の「訓練」になる
──会話以外の工夫も必要。
事前、事後の調整ですね。例えば、手書きでもいいので英語の飲食メニューがあれば、注文を含めたコミュニケーションは何も手がかりがないときに比べて円滑になるでしょう。これは事前調整です。
──インバウンドは増えていますが、歓迎ばかりでもない。
来なくて結構、という空気の強い観光地も確かにある。面倒なうえにどうせ一過性だから、日本のお客を大切にすればいい、と。一理あるし、理由があるだけいい。そもそも、外国人というだけでコミュニケーションを拒否する人も多いですね。わからないでもありません、異文化コミュニケーションにはエネルギーが必要ですから。私の大学の留学生も日本人の友達ゼロなんていっぱいいます。私もいろいろと機会をつくるんですが、留学生と日本人が友達になるのは3割弱くらいです。
──異文化コミュニケーションは観光で終わりではないのに。
観光は楽しい場面なのでコミュニケーションが取りやすい。今後は在留外国人も増えるでしょうから、「やさしい日本語」でお迎えするのは多文化共生の訓練です。
京都でよく行く小料理屋の70代ぐらいの大将は、外国人が入店しようとすると両腕でバツ印。「日本語で話せばいいんだよ」と言ったら、「やってみるか」って。次に行ったときに首尾を聞くのが楽しみです(笑)。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら