糖質制限論争は初期人類の食に答えがあった 近・現代人の糖質からの「独立戦争」に迫る
前著『炭水化物が人類を滅ぼす』の冒頭で、私は「50代後半のオッサンが糖質制限半年で11キロの減量に成功し、腹囲も10センチ減った」と書いたが、じつは現在もスリム体型を維持している。本書の執筆中に還暦を迎えたが、体重は12キロ減の58キロのままだし、ジーンズはユニクロの28インチのスリム・スキニーだ(同社のメンズ・ジーンズで一番細いタイプである)。
体調は絶好調であり、風邪ひとつひいたことがない(風邪をひいていることに気が付かないほどのバカ、という可能性もゼロではないが)。健康診断の血液検査はどれも異常はなく、特に肝機能は、休肝日なしにもかかわらず完璧に正常値であり、二日酔いになったことは一度もない。そしてこの間、糖質制限を取り巻く社会の状況も大きく変化した。
糖質制限批判派の衰退
私は2011年12月に個人サイト『新しい創傷治療』で糖質制限について書き始めたが、当時、糖質制限は糖尿病の治療法の1つであって、一般にはほとんど知られていなかった(実際、私は2011年11月まで糖質制限という言葉を知らなかった)。
しかし、2012年1月頃から、ネットを中心に「メタボ中年オヤジでも短期間で確実に痩せる驚異のダイエット法」と話題になり、糖質制限を実践する人が増え、糖質制限に関するインターネットサイトやブログが一気に増え、情報が飛び交うようになった。同時に、私の糖質制限の師匠である江部康二先生(京都・高雄病院)の著書が爆発的な勢いで売れ始めた。どうやら、糖尿病ではない人がダイエット目的に購入したらしい。
そして2013年10月に、前著『炭水化物が人類を滅ぼす』を刊行。2014年1月から、私はテレビのバラエティ番組などに出演するようになったが、その頃から糖質制限という言葉はマスコミでたびたび取り上げられるようになった。
それでも、2014年上半期は、糖質制限に批判的、懐疑的なマスコミ記事が多く、「糖質制限は危険」という新刊書も何冊か出版された。しかし同年下半期になると、テレビで糖質制限の討論番組を企画しても、討論相手(=糖質制限批判派)が見つからない、いてもテレビに出たがらない、という状態になった。
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