老後はむしろ「孤独なほうがうまくいく」理由 病気もお金も人間関係も孤独なほうが有利

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20年間おひとりさまの団体を運営して感じることですが、1人の人ほど大きな病気にかかっていません。気を張って生きていることで、細胞が頑張ってくれているのか。頼る人がいないので、普段から自己管理を徹底しているからか、理由は定かではありませんが。でも実際に、そうなのです。

そして最期は、割とあっさりと亡くなります。まさに、ピンピンコロリの生き方。これを望む人も多いのではないでしょうか。

子や孫の財布になっていないことを喜ぼう

SSSネットワーク代表理事の松原惇子さん

老後資金はいくらあればいいのか? 不安なのもわかります。ただ実際に老後になってみると、若い頃に抱いた老後資金の不安は、相当消えてしまうものです。

若いときは老後がとてつもなく遠く、想像もつかない世界だったので不安でしたが、いざ老後になると死まで想像できる年齢にいるため、先が見えるから不安がだいぶ減っているのです。実際に70代になった私はそうなりました。80代、90代と老いていくごとに、不安はもっと減るでしょう。

なぜこうなるのかというと、あと何年分のお金があったらいいのか計算できるからです。しかも孤独であれば、その計算もしやすくなります。一方で家族と強く関わってしまうと、家族の分まで加算されるので、資金はこれからいくらあったらいいのかわかりにくくなります。

しかも当たり前の話ですが、孤独なほうがお金の使い道が自由となります。

それが、「子どもや孫のために頑張る」となると、困った事態も起きかねません。実際にあったエピソードを紹介しましょう。

ある団塊世代のAさん夫婦は、夫が定年退職してから2人で悠々自適の生活を楽しんでいました。夫婦はいずれ、どちらかが1人になったときは老人ホームに入ると決めており、その蓄えもたっぷりとありました。

ところがある日、娘が離婚して子連れで実家に戻ってきます。40代の娘はパートだけの収入なので、自立するほどの資金はありません。そこで3世代で暮らすことに。

いくら裕福とはいえ、老夫婦は年金生活者。「孫がかわいい」と言っていたのも、最初だけの話。次第に孫の養育費まで、面倒を見ることになってしまいました。

孤独な場合、確かに家族のぬくもりやにぎわいはありませんが、「ひとりぼっちで寂しい」とは思わず、「子や孫の財布にならずに済んだ」と気持ちを切り替えたいところです。

私の周りには独身者が多いのですが、40代くらいまでは「やっぱり子どもを産みたかった」「1人の老後は心配」と口走っていた人も、50代になると「1人でよかった」に変わっていきます。女性は出産については諦めることではじめて、孤独な人生と向き合うようになり、今まで見逃していた孤独の長所に気づいて、寂しさはすがすがしさに変わるのです。

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