老後はむしろ「孤独なほうがうまくいく」理由 病気もお金も人間関係も孤独なほうが有利

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また、若い頃は友だちが少ないと寂しく感じたものですが、年を重ねるにつけ、体力や気力も落ちてくるせいか、つまらぬ人と付き合うくらいなら孤独なほうがいいと感じるようになります。

夫婦は別々に行動し、薄い関係の友だちがいれば十分

薄い関係の友だちなら、老後になってもいつでもできます。「軽い付き合いの人が何人かいればそれでよし」と思うことが、孤独を謳歌するコツです。

家族がいる人についても、おしどり夫婦などを悪く言うつもりはありませんが、余計なお世話を承知で言うと、「いつも相手にくっついていないで、相手を解放してあげたらどう?」と思います。「あなたは接着剤のようにベタベタしたいかもしれないけど、相手も同じとは限らない」と伝えたいのです。

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夫婦の場合、自分が楽しければ相手も楽しいと思うのは、大きな勘違い。

定年退職された男性たちに聞いてみました。妻と毎日顔を突き合わせる暮らしはどうかというと、最初の2年ほどは妻の陣地に侵入する自分、家に居場所が実はなかった自分、そんな生活に慣れずに苦労するというのです。

最初は、妻と一緒に行動しようとして、家で一緒にテレビを見たり家事を手伝ったりするも、サラリーマン現役時代はそんなにベッタリしていなかったから、煙たがられるとのこと。趣味の教室や旅行に一緒に行っても、「もう来ないで!」と言われる始末……。

そのことにすぐに気づき、夫婦別行動になっているほうが、夫婦関係はうまくいくようです。それぞれが別の趣味を楽しそうに満喫すれば、相手のことに興味を持ちやすくなります。そして、何をしているのかを聞きたくもなります。その会話が1日のうち、夜だけとか少しだけあれば十分なのです。

松原 惇子 SSSネットワーク代表理事

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まつばら じゅんこ / Junko Matsubara

1947年埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングの修士課程修了。シングル女性の今と老後を応援する団体であるNPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。シンガーソングライターや映画製作の活動も行い、自らが孤独な老後を充実していることを体現している。
『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。一貫して「女性ひとりの生き方」をテーマに執筆、講演活動を行っている。ほかの著書には、『「ひとりの老後」はこわくない』(海竜社)、『老後ひとりぼっち』(SB新書)、『クロワッサン症候群』(文藝春秋)などがある。

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