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ブランドと消費者の「関係」が逆転した必然 ネット社会による相互作用がすべてを変えた

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  • 岡本 裕一朗 玉川大学 名誉教授
  • 深谷 信介 博報堂 博報堂ブランド・イノベーションデザイン副代表、スマート×都市デザイン研究所所長
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出典:『ほんとうの「哲学」の話をしよう  哲学者と広告マンの対話』より

深谷:ブランドと刑務所ですか。何か似て非なる、でも同じ方向性を感じます。

ブランドがファンによって監視され、操られる

岡本:刑務所といっても様式が独特なのです。その建物は、いくつもの独房が環状に配置されていて、すべての部屋に中央の監視塔に向いた窓があります。塔のてっぺんにいる看守はそこからすべての収容者を監視することができる一方、独房からは監視塔の内部は見えず看守の姿も見ることはできません。

『ほんとうの「哲学」の話をしよう 哲学者と広告マンの対話』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

そのため収容者はたえず監視されているという意識をもち、監視の視線を内面化していくのです。それによって支配に服従する従順な主体が形成されていくというわけです。

この構造が、実体が見えないブランドというものに支配される従順なファンという、ブランドとファンの関係に似ているのではないかと思いました。そしてこの関係が逆転しつつあるのが、いまの状況なのではないかと。つまりいまは、ブランドがファンによって監視され操られるようになっている、ということです。

しかも、かつてファンにとってブランドの正体が見えなかったように、いまはブランドにとってファンはそこにいるのに見ることができない。そのためブランドにとってはつねに監視されているという心理的抑圧が働く。

そこでよりよく、よく多く取り上げてもらうために、ブランドはファンの視線の下に回り込もうとする。だとすれば、現在のブランドとファンの関係は、かつての看守部屋が中央の舞台に置かれたかたち、まさに「円形闘技場(コロッセオ)」の構造になっているのではないでしょうか。

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