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ブランドと消費者の「関係」が逆転した必然 ネット社会による相互作用がすべてを変えた

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  • 岡本 裕一朗 玉川大学 名誉教授
  • 深谷 信介 博報堂 博報堂ブランド・イノベーションデザイン副代表、スマート×都市デザイン研究所所長
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深谷: いまはブランドも、そうやってインタラクションによってつくられるようになっています。ブランドって、かつては憧れの対象・象徴でした。ブランド側にはWILL、つまり強い意志がある。一般の消費者にとっては手の届かない雲の上の存在であって、消費者のほうが一生懸命そこに近づこうとする、いつかは自分のものにしたいとそれに向かって頑張ったりする対象でした。

20世紀のうちはそういう関係だったと思います。生活者が商品・サービスに憧れる、一方向性の世界ですね。

ブランド=アイデンティティーが消滅していった原因

深谷:ところが、その関係がしだいに変化して、ブランドの力が低下したのか、消費者の力が増したのか、21世紀も20年過ぎたいまとなっては両者の上下関係はほぼ逆転してしまっているんです。

出典:『ほんとうの「哲学」の話をしよう  哲学者と広告マンの対話』より

ブランドは今や雲の上から平場に降りてきていて、消費者と横並びに見られている。ブランドはもはや憧れの対象などではなくって、自分たちで育てるものといった感覚です。僕が関わってこのブランドを有名にしてあげたんだとか、僕たちが持っていたからこのブランドが注目されるようになったとか、育てたのは僕なんだとか、そういう双方向性や関与の関係性になっているんです。

岡本:それはたぶん、ブランドそのものが、自分たちの戦略を変えたんではないでしょうか。ヨーロッパの有名どころのブランドが、ある時期から絶えずモデルチェンジをし始めましたよね。昔のブランドはモデルチェンジなどしないところに、自分たちのアイデンティティーを確立していたのが、そのブランド=アイデンティティーを自ら壊すかのように次から次へとモデルチェンジをするようになった。

消費者の側からすれば、そのときどきの自分たちの欲求に応えようとブランドのほうがすり寄ってきたように感じて、それまでの憧れやリスペクトはしだいになくなっていったように思います。当たり前のことですよね。毎年モデルチェンジしたのでは、たった1年で旧モデルとなってしまうのですから、ありがたみもないです。揺るぎないブランド=アイデンティティーといった世界は、もうそろそろ消え始めている気がします。

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【1980年代から1990年代のブランドに対する考え方】

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