「社員が休まない会社」が抱える根本的な問題 経営者からみて休みはメリットでしかない
マニュアルを作るきっかけになったのは、無印良品の元会長である松井忠三さんの著書、『無印良品は、仕組みが9割』という本。38億円の赤字という経営難に陥っていた良品計画社をV字回復させた施策の1つに“MUJIGRAM”という名のマニュアルがあり、それについて取り上げられている本である。
メンバーからの提案により、MUJIGRAMのみらいワークス版を作成することになり、その結果出来上がったのが「みらペディア」だった。その後、ミドルオフィスだけでなくフロント業務でも「みらペディア」を作成し、すべての業務を全員で把握できる仕組みを作った。そして、誰かが休んでもほかの人に負荷をかけることなく仕事が回る仕組みと文化が定着していった。
「休み方改革」に必要な経営者の視点
この仕組みと文化の定着により、今では「従業員に休んでもらうことはメリットしかない」と考えるようになったが、創業期は違っていた。創業期は、がむしゃらに働くことによりパフォーマンスが発揮されるのだから、従業員を休ませるのは、仕事がたまるというデメリットでしかないと思い込んでいた。
しかし、パフォーマンスを発揮できる環境は人それぞれ。ちゃんと休むことによってパフォーマンスが向上する人もいるのだ。「休み方」にも個人差がある。「休み方」にも多様性があることに気づいた。
業務マニュアルを作り、仕組み化した結果、社員が休んでも業務がたまることもなくなった。それもあってか、当社の有休取得率は62%。世の中の平均を10%以上上回っている。
経営者やリーダーは、社員が休むと仕事が回らないと思うかもしれないが、誰かが休んでも業務が回る仕組みは作ることができる。休み方は働き方にもつながる重要な軸なので、一度業務の仕組み化に真剣に取り組んでみてほしい。やってみてダメならやめればよいだけだ。やってみないと実際のところはわからないと思う。
“ダメ元”の取り組みが、方針がぶれていると思われてしまい困るというのであれば、初めから「やってみてダメならやめます」と宣言してしまえばいいのだ。
「働き方改革関連法により、従業員を休ませなければならない」という“やらされ感”ではなく、経営者自身が本気になって従業員のことを考え、休み方に関する多様性を認め業務の仕組み化を実行すれば、「休み方改革」は進むのではないだろうか。国の方針だからと仕方なしに取り組むのではなく、必要性を感じ自分事として「休み方改革」を推進する経営者が増えることに期待している。
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