「社員が休まない会社」が抱える根本的な問題 経営者からみて休みはメリットでしかない
「人生100年時代」といわれているが、人生が長くなれば、過ごし方も人それぞれのバリエーションが増えるはずだ。ライフステージや自分のライフプランに応じて、集中して働きたいタイミングや働くべきタイミングがあったり、介護や出産、学び直しなどで仕事を休むべきタイミングもあるはず。
社員にモチベーション高く働いてもらうためには、価値観が多様化されていく日本で、働き方と同様、休み方も、強制ではなく「自ら選択している」と思える環境を整えることが大切なのではないのだろうか。
社員が「休みを取りたがらない」理由
厚生労働省の調査によると、2017年の有休取得率は、51.1%であり、世界から見ても低い水準であった。働き方改革法が施行され、2019年4月より年5日は従業員が有休を消化できるように企業に義務が課せられたので状況は多少改善すると見られるが、それでも日本に根付いた「休まない文化」を根本的に変えられるのかは未知数だ。
休みを取りたがらない理由には、「他人に迷惑をかける」「自分がいないと仕事が回らない」などがあるようだ。しかし、実際はそんなことはない。
私は、社会人2年目の頃、プロジェクト参画中に交通事故に遭ってしまい、唐突に数週間プロジェクトから抜けざるをえなくなったことがある。ちょうど繁忙期で、「自分がいないと大変なことになるのでは」と危惧したが、周囲のサポートのおかげで事なきを得た。一時的に、周囲に仕事の負荷がかかり迷惑をかけてしまったとは思うが、「自分がいなくても仕事は回るのだ」と実感した出来事であった。
個人的には、積極的に休みを取りリフレッシュするべきだと思うが、経営者としては、会社を問題なく運営することも考えなければならない。
「自分がいないと仕事が回らないのでは」と心配する社員に気兼ねなく休みを取得してもらうためには、特定の誰かがいない状況でも、ほかの誰かが代わって業務に当たれる状況を作っておくこと。そのためには、マニュアル整備や情報共有、引き継ぎ方法の統一が重要だ。これが「休み方改革」につながる。
例えば当社では、「みらペディア」という業務マニュアルを作成している。これは、ウィキペディアと当社の社名を掛け合わせた造語で、創業以来、改良を重ねている。創業当時、ミドルオフィスメンバーの7割ほどが、週2日出勤のパートタイムで、不在にすることも多かったのでチームの業務をしっかり伝達して連携することがとても大切だったのだ。
5日ぶりに出勤したときに、顔を合わせていないほかのメンバーが対応していた業務をそのまま引き継ぐこともしばしばあり、それを間違えることなく進めなければならないが、間接的に申し伝えるのはなかなか難しい。かといってリッチなITの仕組みを導入する予算もなく、なんとか運用でカバーしているという状況であった。
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