重低音で快走、JR東海「キハ85」が開いた新時代 俊足と「ワイドビュー」で在来線の先駆けに

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JR東海の社員にとってキハ85系とはどのような存在なのか。前出の森さんは「国鉄時代の赤字体質から脱却して世の中に貢献する施策をやっていく、その1つである85系に育ててもらった」と話す。そのうえで「システム自体は古くなっているので更新すべきだが、30年前のデザインは今でも全然陳腐化していないと思っている」と胸を張る。

その森さんが現在携わっているのが、キハ85系の次の世代を担う特急車両の開発だ。非電化区間を走るため、エンジンで発電した電力と、蓄電池の電力を組み合わせて走るハイブリッド方式を採用する。最高速度120kmで営業運転ができるハイブリッド車は国内初という。

次世代の特急用車両

エンジンは1両当たり1台を搭載する。モーターで走行するため、気動車特有の推進軸や変速機が不要になり、メンテナンスのコスト削減につながる。また、台車は一体成型するため、溶接部分に亀裂が入るなどのリスクを減らすことができるそうだ。

高山駅(画面奥)に入線する「ワイドビューひだ」(記者撮影)
外国人観光客でにぎわう高山駅(記者撮影)

全座席へのコンセント導入や防犯カメラの設置、大型の荷物が置けるスペースの確保など、近年の旅行スタイルに合わせて快適性や安全性を一段と向上させる考えだ。駅停車時にはエンジンを止めるなど、騒音や環境にも配慮する。

新型特急車両は、今年12月までに4両1編成の試験走行車が登場。本線でテストを重ね、営業運転をする量産車が2022年度にデビューする見通しだ。

JR東海が民営化後初めて開発したキハ85系。その斬新なデザインや新たに導入された技術は、同社の在来線車両の先駆けとなった。その後継車両もまた、次の時代を切り開く役割を担っていくことは間違いない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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