在来線の特急列車が1つの節目を迎えようとしている。JR東日本
185系は国鉄時代に製造された車両だ。国鉄の分割民営化から32年が経過し、特にJR各社のフラッグシップとなる特急用車両は代替わりが激しい。すでにJR東海とJR九州からは国鉄時代の特急形車両が引退しており、185系の引退でJR東日本からもジョイフルトレイン(団体臨時列車用の車両)を除いて姿を消す。
そんな中、最後の国鉄形特急電車となる381系が、鉄道ファンの注目を集めている。JR西日本が岡山―出雲市を伯備線経由で結ぶ特急「やくも」に使用している車両だ。現在は1日15往復走り、ビジネス・観光両面の足として活躍する。
山岳路線の“救世主”として登場
381系は、1973(昭和48)年に中央西線でデビューした。当時、国鉄は非電化幹線の電化を進めており、これに伴って特急列車の速達化も図っていたが、カーブが多い山岳路線は電化だけでは大幅なスピードアップが困難だった。そこで、急カーブを安定して走行できる車両として開発されたのが、381系だ。
381系最大の特徴は、振り子式と呼ばれる構造である。カーブを通過する際には遠心力が働き、車体上部が外側に大きく振られる。これが限界値を超えると脱線してしまうため、カーブ部分は「カント」といって線路を内側に傾けるのだが、カントを大きくすると今度はカーブで停車した時に内側へ倒れてしまう。
そこで、カーブ通過時に遠心力を利用して車体下部を振り、車体を内側に傾けることで高速走行できるようにしたのが、振り子式車両である。
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