世界有数の鉄道大国である日本。今日も各地で、多くの列車が走っている。スピードと快適性を追求した新幹線や特急列車が花形ならば、通勤通学輸送に徹するロングシートの車両は人々の生活を支える足と言える。一度に多くの荷物を運べ、環境にやさしい貨物列車も、日本の物流を担う重要な存在だ。
ところで、鉄道車両には旅客車両や貨物車両のほかに重要な車両がある。「事業用車両」と呼ばれるもので、子供たちに人気の黄色い新幹線「ドクターイエロー」もその一種。線路や架線の状態を測定したり、保線・修繕作業に必要な資材を運ぶ車両たちで、その性質上、毎日決まったダイヤで運転されることはほとんどなく、利用者の目に触れることは少ない。まさに、鉄道を陰で支える裏方だ。
線路や信号などの状態を調べる「総合検測車」
京都府向日市にある、吹田総合車両所京都支所(以下「京都支所」)には、特急車両、通勤車両に交じって、そんな事業用車両たちが配置されている。
広大な敷地の一角に、見慣れない車両が休んでいた。2両編成の車体には「キヤ141」「キクヤ141」と書かれている。この車両は、キヤ141系と呼ばれる総合検測車で、事業用車両の一種。「キ」は気動車(ディーゼルカー)であることを、「ヤ」は職用車(役所の「ヤ」)、つまり営業用ではなく事業用の車両であることを表す。
2006年に製造され、新快速・快速用の223系や221系に似た前面を持つ一方、側面は扉や窓が少なく、見た目からして“普通の車両”ではない。
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