関西エリアにある寺社や史跡の最寄り駅の中には、降りると目の前に目指す場所があるとても便利な駅もあるけれど、ずいぶん歩かなければならないところも少なくない。歩くと10分以上かかったり、坂道を上らなければならなくなったりと、寺社巡りが趣味のシニア層でもつらいであろう。
これまで、施設名を冠した駅名なのに歩くと大変な「最寄り駅」を関東の私鉄編(2019年2月5日付記事「目的地までが遠すぎる…残念な『最寄り駅』10選」)、全国のJR編(2019年3月12日付記事「まだある?全国のJR線『残念な最寄り駅』10選」)の2回にわたって筆者の独断で選んできた。
今回は関西の私鉄の駅の中で、やや不便であり残念と感じるものを挙げてみる。
結局一番の最寄り駅は?
明治天皇のお墓である桃山御陵の周辺にはいくつもの鉄道路線が走っている。駅も近鉄の桃山御陵前以外に、京阪電車の伏見桃山駅、桃山南口駅、JR奈良線の桃山駅と乱立状態だ。
その中でいかにも一番の最寄り駅のような顔をしているのが近鉄の桃山御陵前駅である。この駅から桃山御陵へは東に歩いていく。駅のすぐ西には京阪の伏見桃山駅があるけれど、御陵とは反対方向に位置しているので、近鉄の駅と比べると、すでにハンディが付いた状態だ。
桃山御陵駅から大手筋通を東へ向かうと、参道らしく赤い鳥居が建ち、くぐって進むと神功皇后を主祭神とし、安産祈願で知られる御香宮(ごこうのみや)神社の前を通る。さらに進んでJR桃山駅脇の踏切を渡り、ゆるやかな坂を上っていくと御陵を中心とした広い敷地の入り口に着く。ここまで駅から約10分だ。
参道の砂利道をどんどん歩いていくと、ようやく木製の鳥居が建つ御陵前に出る。駅からは20分以上の距離である。さらに東へゆるやかな坂を下っていくと明治天皇の皇后だった昭憲皇太后のお墓である伏見桃山東陵がある。
このあたりから敷地外に出て、車道を東南の方向に進むと、JR奈良線の下をくぐり、京阪宇治線の桃山南口駅に着く。距離的には桃山南口駅が御陵には一番近いけれど、心臓破りのような大階段を上らなければ御陵には行けない。ただし階段の上からの眺めは最高なので、足腰に自信がある人にはよさそうだ。
客観的には、JR桃山駅が一番の最寄り駅であろう。歴史的にも明治天皇の大葬列車が到着した場所である。近鉄の桃山御陵前駅にはタクシーが停まっているので、敷地の入り口まで利用するのがいいかもしれない。
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