実は関西が本場?「残念な最寄り駅」10選 寺社から微妙に遠く、お年寄りにはつらい

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7)水間観音駅(水間鉄道)

大阪府貝塚市にある水間観音は由緒ある寺であるとともに、最近ではパワースポットや愛染堂が「恋人の聖地」として若い人たちにも受け入れられるよう趣向を凝らした取り組みで注目を集めている。

水間鉄道の水間観音駅。開業当時の姿を残している(筆者撮影)

その最寄り駅が水間鉄道の終点水間観音駅。大正末期に水間駅として開業し、2009年にいまの名称に変わったのだが、至近距離にはなく、10分近くかかるというやや微妙な位置にある。

それは別にしても、水間鉄道は南海本線の貝塚駅に接続し、難波からはアクセスしやすい状況にある。ただし、近義の里駅と石才駅の間でJR阪和線と交差するにもかかわらず、駅がない。

阪和線の東貝塚駅にしても和泉橋本駅にしても、水間鉄道の駅とは離れていてとても乗り換えができる状況にはない。幅広く水間観音に集客したいところなのに、これは足かせとなっている。歴史的経緯があるようだが、そろそろ見直してもいいのにと思う。ただし、乗換駅を造ろうとする動きはないようで、残念な点である。

奈良にある「最寄り駅」

最後に奈良県内から3駅。

8)当麻寺駅(近鉄南大阪線)

紅葉、シダレザクラ、ボタンなどで有名な当麻寺(當麻寺、たいまでら)の最寄り駅であるが、徒歩15分ほどかかり便利とは言えない。急行や特急は停車しないので準急や各駅停車を利用することになるのだが、古市駅で急行と各駅停車の乗り継ぎはできないダイヤで、大阪阿部野橋駅から向かうときは、実質30分に1本の準急に乗るしかなく、ちょっと残念な状況である。

9)吉野神宮駅(近鉄吉野線)

明治22(1889)年に明治天皇によって創建された吉野神宮は、駅から坂道を歩いて20分もかかる。タクシーを利用するのが無難であろう。電車の本数は、1時間に4本、特急も停車するので、大阪阿部野橋駅から、乗り換えなし、1時間15分ほどの所要時間で到着できるのはありがたい。

10)長谷寺(近鉄大阪線)

大和路にあって、サクラ、コブシ、ボタン、シャクナゲ、ドウダンツツジなど花の寺として人気のある長谷寺。近鉄大阪線の長谷寺駅が最寄り駅だ。しかし、歩くと15~20分、決して近い距離ではない。

近鉄大阪線の長谷寺駅 。ここから長谷寺までの道のりも長い(写真:f.shin/PIXTA)

電車は、座席指定の特急は通過、急行あるいは区間準急を利用することになる。日中は1時間に4本程度の電車が発着し、大阪上本町駅から50分ほどで到着する。1つ手前の大和朝倉駅止まりの電車があり、長谷寺駅では本数が減るのが、ちょっと悔しい。

ほかにも寺社や史跡の名称を駅名とした「残念な最寄り駅」がいくつかあるけれど、本殿や本堂までの長い道のりをのんびり歩いてお参りするのも、寺社巡りの楽しみの1つではないだろうか。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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