JR西日本381系「やくも」、国鉄形特急最後の輝き 岡山―出雲市で現役活躍中も引退時期が迫る

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一時は山岳路線の“救世主”と目された381系だが、大きなネックが2つあった。1つは、その製造コストである。アルミ製車体は鋼製よりも高価であり、また振り子機能付きの台車や床下のクーラーなど専用機器も多いことが原因だ。

床下に搭載されたクーラー(筆者撮影)
洗面所に備え付けられたエチケット袋(筆者撮影)

そのため、国鉄の財政が危機的状況となった1980年代中盤には、いくつかの路線で追加投入が計画されたものの立ち消えとなっている。

もう1つのネックは乗り心地である。381系が採用する「自然振り子式」は、列車がカーブに進入した後で一気に車体が傾くため、この揺れによって乗り物酔いを起こす乗客が多発。各座席には、飛行機よろしく「エチケット袋」が備え付けられる始末であった。

現在も洗面所に常備されているが、乗り心地の抜本的な対策は難しく、JR化後はカーブの進入直前から緩やかに車体を傾ける「制御振り子式」が主流となった。

大好評のパノラマグリーン車

1994年には、JR東海が制御振り子式特急用車両の383系を開発。翌年に「しなの」の置き換えが始まった。1996(平成8)年には「くろしお」にも制御振り子式の283系が投入されたが、全面的な置き換えは行われず、大部分は引き続き381系が使われた。

パノラマグリーン車のクロ380形(筆者撮影)

1989(平成元)年には一部が前面展望可能なパノラマグリーン車へと改造され、「スーパーくろしお」として運用を開始。同年に登場した「スーパー雷鳥」のパノラマグリーン車と共に、大きな人気を集めた。

5年後には、同じくパノラマグリーン車を連結した「スーパーやくも」が登場したほか、これと前後して座席の改良やシートピッチの拡大も行われるなど、リニューアルを随時実施。だが、登場から30年を越えて老朽化が激しくなったことなどから、287系や289系に置き換えられて2015(平成27)年に「くろしお」から引退した。一時は福知山電車区に貸し出し・転属のうえ「こうのとり」などでも使用されたが、こちらも2017年に運用を終了している。

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