重低音で快走、JR東海「キハ85」が開いた新時代 俊足と「ワイドビュー」で在来線の先駆けに

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キハ85系には2つの「顔」がある。1つは展望を重視した3次曲面前面窓の先頭車。運転席の上部には「サンルーフ」まで設けてある。もう一方は、ほかの車両と連結して通り抜けができる貫通扉を中央に設けた顔だ。編成の両数を変え、繁閑に応じた柔軟な運用を可能にしている。

曲面は「栗」をイメージ?

デビュー当時、「時代の先端を行く」存在だった特急車両は、発足したばかりのJR東海でどのように生まれたのか。同社在来線部門で車両設計に関わった車両部車両課担当課長、森加久見さんは外観について「高山地区だと栗、南紀方面だと二枚貝とか、曲面になった特産物をデザイン化して先頭の形状が決まったと聞いている」と明かす。

本来は「自然界と調和する『あたたかさ』と、未来を想像させる『宇宙感覚』」というのがデザインのテーマだそうだ。が、栗や二枚貝に例えられると親しみやすさが一層増すように思える。

側面には縦95cmの大型曲面ガラスの窓を採用。高山本線沿線の飛水峡や中山七里といった景勝地の車窓を楽しめるようにした。車内は、普通車でもシートピッチが100cmあるリクライニングシートによって快適性を向上させ、座席の床面は通路より1段高くして眺めのよさを確保した。

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