「何者でもなかった大学生」が夢をつかめた理由

「可能性を信じることで可能性は広がった」

「それでいいんだよ」と言って、クインシーは僕の肩に手をかけた。
「そうやって人生を学ぶのさ」
 クインシーとしっかり目と目を合わせたとき、僕の中で何かがひらいめいた。(中略)
「失敗から学ぶしかない」と彼は言った。
「何度ノックダウンされても立ち上がるんだ。敗北して去っていく人もいる。用心深く臆病になる人もいる。情熱よりも不安が勝ってしまう人もいる。でもそれは間違いだ。
一見複雑なようで、実は割とシンプルなんだ。つまり、“リラックスして神に委ねる”ことさ」
「Fを取るんじゃないかとびびっていたら、Aなんか取れやしない」とクインシーは続けた。
「自分の得意分野で成長していくときに味わう気分は最高だよ。成長は失敗から生まれる。失敗を大事にすれば、そこから学べる。失敗は最高の贈り物なんだ。(414〜415ページより)

誰もが選択肢を持っている

さて、やはりここでは詳細に触れないでおくが、この後バナヤンは、先にも名前を出したとある有名人と会い、意気投合し、一つの達成感を味わう。その部分が、本書のクライマックスだ。

とはいっても本書を見る限り、彼が成功した事例は決して多いとはいえない。だから、きっと華やかなサクセスストーリーが展開されるのだろうと期待して読んだとしたら、多少なりとも肩透かしをくらうかもしれない。

しかしクインシー・ジョーンズも言うように、成長は失敗から生まれるのだ。つまり失敗の連続は成長への階段のようなもので、その証拠に、本書を締めくくるバナヤンの言葉には明らかな成長の跡が見える。

小さな決断によって、誰もが人生を大きく変えることができる。
みんなが並んでいるからと何となく行列に加わり、ファーストドア(正面入り口)の前で待つのも自由だ。
行列から飛び出して裏道を走り、サードドアをこじ開けるのも自由だ。
誰もが、その選択肢を持っている。
これまでの旅で学んだ教訓が1つあるとすれば、どのドアだって開けられるということだ。
可能性を信じたことで、僕の人生は変わった。
可能性を信じられる人間になることで、可能性を広げることさえできるんだ。(435ページより)

いつしか、「可能性を信じる」と口にすることは恥ずかしいことのように思われるようになったのではないか。確かに口に出してしまえば、少しばかり青くさくは聞こえてしまうのかもしれない。

だが本来、可能性を信じることは決して間違ってはいないはずだ。そして、いろいろな意味で窮屈になっている現代だからこそ、あえて原点に立ち戻るべきなのではないか?

本書を読み終え、そんなことをふと感じた。

(敬称略)

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