「何者でもなかった大学生」が夢をつかめた理由 「可能性を信じることで可能性は広がった」
(90ページより)
話を聞くことができたボクシングの元世界チャンピオン、シュガー・レイ・レナードはこう告げた。そこで彼は勇気づけられるが、だからといってすべてが好転するわけではなかった。
マイクロソフトのチー・ルーは好意的で、さまざまな局面で尽力してくれたが、それでもうまくいかないことは続いた。起業家のエリオット・ビズノーもバナヤンに共感し、さまざまなアイデアや助言を与えてくれた。が、彼はどこかふわふわして、つかみどころのない存在でもあった。
小さな箱から出なさい
つまりバナヤンはリズミカルに成功への階段を上っていったわけではなく、大きなチャンスに接近しては失望し……というプロセスを繰り返すことになったのである。
誰との出会いが成功し、誰との接触がうまくいかなかったのか、そのことを明かしてしまっては読む楽しみを奪うことになるだろう。だからあえて伏せておくが、(呆れ半分で)感心するのは、バナヤンの精神力の強さである。
何しろ本書を脱稿するまでの彼は、何の実績も持たない、休学中の大学生でしかなかったからだ。
しかし彼は歩みを止めず、やがて動物行動学者のジェーン・グドールの話に感銘を受け、そんな中、自分のインタビューリストに男しかいなかったことに気づき、自分の内部にあった性別にまつわる偏見に気づく。
詩人のマヤ・アンジェロウからは、これからキャリアを積む若者へのアドバイスとして「小さな箱から出なさい」という言葉を受け取る。
なお、このインタビューからほぼ1年後、マヤ・アンジェロウは亡くなっている。そう考えると、不思議なタイミングではある。
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