第4回 生き残るためにすべきこと

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発揮しやすく、評価されやすい「傾聴のスキル」を磨け

課長が向いている意識の9割は自身の担当業務である。
 いち担当者として顧客対応に明け暮れ、その後処理までこなしていると組織のマネジメントまで意識が及びにくい。
 そこで担当課長が手薄となった組織マネジメントの一部を補完する働きができれば、組織内の存在感も上がるはずである。
 とりわけ、部下指導・育成は課長も重要だと思いながらも緊急性が高くないので、つい後回しになり、放置状態となってしまうこともしばしばである。

また多くの課長は周囲に対して「話しかけないでオーラ」を出している。
 「すみません。ちょっとご相談があるのですが・・・」
 という部下の声掛けに、「おう、どうした?」と爽やかな感じで返答し、部下の相談にのるのが良い上司との会話イメージだが、現実の課長は仕事に追われ、余裕がない。
 「いま手が離せないので!」の一言で打ち切られ、そのまま忘れ去られる。
 ここで担当課長の出番である。すかさず「俺が代わりに聞いてやるよ」というスピード感はいらないが、どこかのタイミングで聞いてあげればよい。
 課長がいわゆる「切れ者」タイプであればなおさら、No.2である担当課長の存在は組織にとって大きい。頼れるアニキになり得る。
 上司が切れ者であればあるほど部下達は切られ役専門に陥ってしまう。切られ過ぎてズタズタになったメンバーの気持ちを聴いてあげるだけでいい。それが職場で必要な「傾聴」なのだ。テクニックではなく役割・スタンスの問題である。
 大手企業であれば、管理職教育の中に「傾聴スキルの向上」というテーマがある。課長も研修では真面目に受講しているが、現場で傾聴スキルを駆使しているのは極めて少数である。
 「傾聴が大切なのは分かるが、部下の話を聞いている暇がない」のが課長の現実である。
 担当課長の中には、「個人成績はいいが部下を育てられない」「部下を潰してしまう」から担当課長に横滑りになったという者も少なくない。課長に課せられた責任と同等かそれ以上の価値を出しているのであれば問題はないが、そんな担当課長は10人に1人もいない。
 「オレは課長をはずれたので専門性で食っていく」という人もいるが、社外労働市場価値の危うい専門性を磨くために振り向ける時間の少しだけでも、課長が手の回らない後進の育成に回したほうが、社内市場価値が高まるというものだ。

企業の昇進事情を見てみると、課長になる社員は人材マネジメント力を見込まれて昇進するのではなく、プレイヤーとしてのパフォーマンスが直近2年程度連続して優秀だったからに他ならない。
 営業であれば個人成績が優秀なので、他のメンバーにそのノウハウを伝授してくれることを期待して昇進させているのが実態だ。
 「今度の課長は優秀らしい」という噂とともに異動してくる新任課長に限って部下扱いが苦手なことが多い。

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