「住宅メーカー」と異業種コラボが拡大する事情 共働きの暮らし改善やIoTの普及にも一役
「SDGs」とは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことで、17のゴールを設定した世界的な動きだ。モデルハウスでは、その目標達成につながる仕掛けについて実際の住宅、家具や生活用品などを用い、来場者が体感できるようにしている。
アキュラホームは、昨年発表したカンナ削りによる「木のストロー」が高い環境保全の点で評価を受けている。今回の取り組みは従来型の家具メーカーとの連携に、環境貢献という新たな訴求要素を加えることで、さらなる企業認知度・イメージの向上を期待していると考えられる。
いずれにせよ、このように住宅業界内の比較的近しい異業種企業との連携が、これまで基本的なスタイルとして存在してきた。一方で、時代の移り変わり、中でも消費者の生活スタイルや志向の多様化に伴い、連携のあり方も変化が生じている。
「ペット共生」での連携も
例えば、「ペット共生」の分野で連携するケースがある。イヌ・ネコの飼育数は、約1855万頭(イヌは約890万頭、ネコは約965万頭、ペットフード協会「2018年全国犬猫飼育実態調査」より)で、15歳未満の子どもの数1553万人(総務省)を上回っている。
こうした状況から、住まいには人はもちろん、ペットも快適に暮らせる住まいの提案が強く求められるようになり、それぞれの習性に合わせた、より専門性の高いノウハウが必要とされるようになったわけだ。
具体的には、建物内の床や壁などの各種素材や間取り、外部も含めた動線にも及び、こうなると通常の住まい提案では消費者のニーズを満たせない。つまり、住まい分野における異業種連携は比較的近い分野にとどまらず、近年はより幅広く行われているわけだ。
東日本大震災以降には、防災に関する連携の事例もみられるようになった。この大災害は社会インフラやエネルギーに関する懸念を社会に抱かせた。
このため、国や大学などの専門の研究機関や専門家などと連携。その監修を受けた防災機能を高める提案が住宅単体だけでなく、分譲地など街づくりのあり方にも広がる契機となった。
医療や介護などの分野においても、専門知識や最新の研究成果を持つ機関や企業などとの連携が進みつつある。どのような産業でも同様だが、日本が抱える問題を解決すべく、このような連携が行われているともいえる。
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