「住宅メーカー」と異業種コラボが拡大する事情 共働きの暮らし改善やIoTの普及にも一役

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例えば、旭化成ホームプロダクツは食品包装材「ジップロック」などの商品を持つが、これを使用し週末に下味を付けておくと、平日に食事の支度の時短ができ、結果的に共働き世帯の暮らしの改善につながる。こうしたより生活の細部に踏み込んだ工夫を発信する、というのがプロジェクトのイメージだ。

「ゆとりうむプロジェクト」のホームページ。その中には参加企業のブランドロゴも掲載されているが、G-Placeのロゴは規定の関係上、掲載されていない(画像:ゆとりうむプロジェクト)

旭化成ホームズとしては、研究所の活動などを通じて独自に共働き世帯向けのノウハウを積み重ねてきたわけだが、発足から30年を経て同世帯の暮らしを改善する取り組みに限界が生じ、このような動きになったものとみられる。

共働き家族研究所の関係者は、「この30年、当初は先鋭的だった共働き世帯が普通になる変遷を捉えてきた」という。その成果と、従来とは異なる業種との連携を進めることで、住まいにできる工夫を探っていくというのが、新プロジェクトの狙いといえそうだ。

住まいとIoTの相性

ところで、世の中の変化として今後、非常に重要となるのはAIを含むIoTの技術導入とその進捗ではないだろうか。住まいは人の暮らしと直結するものだけにIoTとの相性は抜群だ。連携が今後さらに進むと考えられる。

IoT事業者は基本、生活者の実態に詳しくはない。だから、彼らと生活者を結びつけられる存在として、住宅事業者が有する人々の暮らしに関する多くの知見は重要性を増すはずでもある。

すでに労働環境の改善や生産などの仕組みには、他産業と同様に連携は進んでいる。しかし、住まいに導入されているIoT技術の導入は現状、エネルギー関連やスマートスピーカーなどによる限られた範囲にとどまっているのが現状だ。

さらに住まいとIoTの結びつきが強まれば、サービスやコンテンツを提供する事業者も連携の輪の中に参入しやすくもなる。そうなれば、共働き世帯など多くの人々の生活改善などを含めた、社会の改善に大きく起用すると考えられる。

いずれにせよ、どのような事業者とどのような連携を図り、新たなサービス・コンテンツを生み出すことができるかが、住宅事業者のみならず、さまざまな事業者の今後の業績をも左右することになるだろうと、筆者は考える。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

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たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

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